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これからの時代に、子どもに医師を勧めるべきか?医師たちの本音に迫る

高齢者人口の増大や医療DXなど、今後も医療業界には様々な変化が起きていくことが予想されます。
医師専用コミュニティサイト「MedPeer」にて、医師を対象に『子どもには医師になってほしいと考えますか』という質問が投げかけられました。
これからの医療環境の不確実性が増す中で、現役医師はどのように考えているのでしょうか?医師としてのキャリアを子どもに勧めるべきか、リアルな声を聞いてみました。

約7割が答えた“どちらでもよい”その理由とは?

調査日:2024年8月28日

約7割の医師が「医師になるかどうかはどちらでもよい」と回答。子どもの意思を尊重する姿勢が多く見られました。
一方で、医師という職業の安定性ややりがいを評価し、是が非でも勧めたいという意見や、医師にならなくても応援したいという声も。
「子どもに医師を勧めるべきか」という問いに対する医師たちの本音を、それぞれの理由と共に探ってみましょう。

「医師になるかどうかはどちらでもよい」

50代 女性 開業医 産婦人科
夫も私の医師ですが、子供には医者になれと言ったことは一度もありません。なりたいものがあれば子供の意思を尊重する方針ですし、成績だけで医師家庭の親御さんや学校の先生から医学部を勧められて入学し、結局あわずに中退した子供さんの話を聞くと親も子もかわいそうだなと思います。自分の子供にはなりたいものになっていいと言ってきましたが、医者は患者さんから感謝されるしやりがいがある仕事だとは言ってきました。そのせいか3人のうち2人は医学部に進学しました。昨今の医療を取り巻く環境を考えるとよかったかどうかはわかりませんが。

60代 男性 勤務医 整形外科・スポーツ医学 その他
医師は理想を追求することで給料がもらえるとても良い仕事です。私の兄弟や妻、親せき、研究室の後輩(非医師)など、私を見てきた人は、可能な人ほぼ全員が転職して再受験し、医師や看護師になりました。その人たち以上に私を見て育ってきた子供たちが医師(医療)を選ばないのなら、本人の選択であり、構わないと思います。現に子育てが一段落した妻と、3人の子供のうち2人までは医師になり、3人目は医師になっていません。

40代 女性 勤務医 循環器内科 一般内科
夫婦ともに医師です。質問文の通り、これから医師の置かれる状況は厳しいものになるでしょうし、絶対になってほしいとは思いません。ただ、本人がなりたいと希望したらそれはそれで嬉しいですし、応援します。どんな職業でも本人が希望しなければ続かないと思いますし、とにかくなりたい職業を見つけてそれに向かって努力して夢を叶えてほしいということに尽きます。

40代 男性 勤務医 放射線腫瘍科
そもそも、子供の職業選択について親がどうこう言う事自体がおかしい。色んな職業を経て医師になったならともかく、ほとんどの医師はそれ以外の道を知らない。口出ししても説得力が無い。自分の父親は開業医だったが、子供たちに医師になってほしいとは一言も言わなかった。もし言われていたら、自分は反発して医師にならなかったかもしれないと思う。

50代 男性 勤務医 脳神経外科
自分がサラリーマンの父親から医者になったので、他職種への偏見がなかったことから、子供には行きたいところに行けばいい、と思ってました。医者になりたかったらなればいいし。実際子供らは国立医学部に十分行ける学力がありましたがみんな工学部などに進学して現在は親元を離れて就職、仕事しています。子供らを誇りに思います。


「医師になってほしい」

50代 男性 勤務医 眼科
やはりまだ安定した職業。3人女、1人男なので、女の子でも子供が生まれても続けていけるし、自分である程度の働き方をコントロールできる職業だと思います。昨今、職業不安をあおられていますが、完全にはなくならない職業ではないかと思っています。

30代 女性 勤務医 代謝・内分泌科 総合診療 一般内科 漢方医学 産業医
性別年齢関係なくで安定した収入があり社会的地位もある仕事であるから。

40代 男性 勤務医 一般内科
自分の成し得なかった夢を子供で実現してもらいたいと願っています。

30代 男性 勤務医 精神科 放射線科
不安定な世の中故に、医者のようなくいっぱぐれない職業を選んで頂けると親としては助かります。私自身、昔は医師を強く志望しておらず、医療関係者の父親の言う事を聞かざるを得ない状況の中で医学部を選択して、今医者として働いておりますが、最近父親の言う事がしみじみ分かってきました。

60代 男性 開業医 一般内科 泌尿器科
3人中2人が医師になりました。私から医師になれと言ったことはありませんが、自分たちなりに考えたのだと思います。昨今の経済状況や働き方をみても医師や他の資格のある職業であればとりあえず食べていけると思います。父が普通のサラリーマンだっただけになおさらです。

70代以上 男性 勤務医 一般外科 消化器内科 緩和医療 健診・予防医学
就職活動をしないでよい。まともにやっていればリストラ解雇の心配は全くない。興味次第では研究もできるし、うまく進めば教科書を書き換えるような仕事もできるし、時代に合えばノーベル賞にも届くかも知れない。こんな職業は他にない。


「医師にはならないでほしい」

30代 男性 勤務医 整形外科・スポーツ医学
田舎で医者をするならいいのかもしれませんが、都会特に東京でやるならコスパが悪すぎると思います。
働き方改革など、これからの制度変更や学生時代の時間の使い方、仕事の内容など考えると医者をする事が必ずしも子供を幸せにするとはとても思えません。
もちろん素晴らしい仕事であることは間違い無いと思います。

40代 女性 勤務医 病理
患者さんにとっては良いことながら色々なことがマニュアル化され自分の思考力や推測力が以前ほど必要なくなり、一生懸命勉強しても他との差別化につながりにくくなっている。レベルの低い医療訴訟や報道にも辟易。昔ほどやりがいが無くなっているのに保険診療という天井によって賃金上昇も望めない。

70代以上 男性 勤務医 救急医療科 一般外科
医師免許さえ持っていれば歳を取っても働き場所には困らないと今のところは今のところは)ある。しかし、医局に属すると勤務先が安定するまで時間がかかる。自分の時間がなかなか取れないなど、不利な面も多い。自分の人生を振り返ってみて、本人の強い希望でもなければ勧めるつもりはない。

60代 男性 勤務医 一般内科 消化器内科
一人娘ですが、医師の子供だと中学、高校の同級生や教師が医学部に行って当たり前という目で見るようです。私はこれから厳しい環境になると思うので医学部に行って欲しくなかったのですが結局、娘は医学部に行きました。
でも国立大学に行ってくれたので大変助かりました。

50代 男性 勤務医 精神科
私が受験した頃と違い、受験偏差値の割に、給与は低いと考えます。親が一般会社経営者の家庭に育ちましたが、医師・その親族とは、生活・職業等への価値観が違っており、学生時代を含め、かなり苦労しました。

40代 男性 勤務医 小児科 一般内科 アレルギー科 精神科 心療内科
学力が伴っており子供本人に医師となる希望が強くあれば別ですが。自分が医師なのでその実情や自分と職業との相性が分かっているので、せめて子供には別の職業についてほしい。収入が少なくてもそこは支出を抑えて生きればよいわけで、その方が楽しく生活できるし学ぶこともより多くなると考えるので。

70代以上 男性 勤務医 放射線腫瘍科 脳神経外科 緩和医療
私は再受験で医者になりましたが、仕事内容や給与面で、最初の大学の同期や部仲間に勝る所はありません。人の命を預かり、懸命に頑張ってきましたが、年取っても働けるのが魅力とは。


医師の意見を通して、医師という職業に対する考え方の幅広さが浮き彫りになりました。安定した収入や社会的地位、やりがいを評価する意見がある一方で、医療業界の厳しい現実や生活の制約を理由に、別のキャリアを勧める声もあります。
最終的には、医師という道が子どもにとって適切かどうかを見極め、本人の希望を尊重することが重要であると考えている医師が多いようです。

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