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医師であり起業家。ヘルステック業界のフロントランナー石見陽さんがメドピア事業に込めた想いに迫る!

診療を行っている様子

固定概念に縛られず多様な働き方が求められる中、医師を経験した後に起業家としても活躍する方々が増えてきています。しかし、臨床の現場で医療に従事しながら起業家であるというのはごく稀です。
そんな中で、メドピア株式会社の創業者である石見 陽さんは、臨床医としての豊かな経験と知識を活かし、医師として働きながらIT企業を設立したパイオニア。
なぜこのような取り組みを始めたのか、医療の現場における課題や臨床医と起業家の両立がもたらすメリットなど、ヘルステックを活用したメドピアの未来予想図について聞いてみました。


臨床の現場にこそ事業のヒントがある

メドピア代表取締役 石見陽

1999年、信州大学医学部を卒業し、東京女子医科大学循環器内科学に入局。医師としての道を歩み始めた石見さん。最前線での活動を通じて、「企業活動を通じて社会に良い影響を与えることも、医者の仕事の一部ではないか」と考えるように。
この思いから、2004年にインターネットを活用した医師向け情報提供サービスを主軸とした事業を立ち上げ、メドピアの前身である株式会社メディカル・オブリージュを創業しました。

「臨床の仕事を持ちながら、同時にIT企業を設立したのは、おそらく、私が初めてのことだと思います。私が目指したのは、医者の視点と考え方を持ちつつ、株式会社の形で社会に貢献する企業を創り出すことでした。
日本の国民が全員病気になる可能性があると考えれば、間接的にせよ、1億人以上に、ヘルスケアの領域で貢献できるのは大きな意義があります。このダイナミックな可能性に賭けて創業しました」(石見さん)

2004年の創業以来、石見さんが常にこだわってきたのが「現場感覚」。
医師のためのコミュニティサイト「MedPeer」を立ち上げ、医者の気持ちやニーズに真摯に応えるサービスを提供しています。

「臨床の現場で患者さんと接することで多くの学びを得てきましたが、時には困ることもあるわけです。患者さんにどのように説明すれば良いのか、どの薬をどのように使い分ければ良いのか、自分自身が困った際にMedPeerを活用したおかげで解決策が見つかったということもありました。
私自身が最も積極的なユーザー、すなわちスーパーユーザーでなければならないと感じ、現場感覚を大切にし続けてきました」(石見さん)

病院の経営こそ、まさに医療の現場。地域社会において病院が果たすべき役割や、どのようにサービスを提供すべきかについて、深く考え実践する場となります。臨床の現場感にこだわることで、医療における課題や問題点がより明確に浮かび上がってくると言います。

「医療業界における課題は基本的には変わっていないと思います。現場では『ミスは絶対に許されない』という医療安全と、医療を効率的に提供することが求められます。
医療は労働集約的で、多くの部分が人に依存しているため、ミスの発生や効率の低下が避けられません。ですので、医療ミスの防止のためにもデジタル化の推進は極めて重要です。例えば、一部の病院では、いまだにボールペンでカルテを書くのが主流で、医師の読みにくい字の指示はミスを引き起こすきっかっけになってしまうこともあります。このような問題こそデジタル化によって解決できるでしょう」(石見さん)


メドピアの”集合知”を体現する「薬剤評価掲示板」

メドピアが、現在グループで取り組んでいるのが「プライマリ・ケア」の分野です。プライマリ・ケアとは、特定の病気のみを治療する専門医とは異なり、体調が急に悪くなった際の緊急対応から、健康診断の結果に関する相談まで幅広く対応する医療のことを指します。

「これまでのプライマリ・ケアは、電話での対応が一般的でしたが、今はスマートフォンを使用して簡単に対応できるようになりました。この変化の背後には、医療DXの普及がありますが、私たちメドピアグループとしては、言葉に踊らされることなく、本当に患者さんの助けとなるサービスを提供することに注力しています。それこそが、最終的には安全で効率的な医療サービスの提供に繋がると考えています」(石見さん)

そして、メドピアのキーワードである”集合知”を体現しているのが「薬剤評価掲示板」です。医者が患者さんに薬を処方する際に重要なオプションであり、特に内科医にとっては必要不可欠です。国家資格を有する医師というプロフェッショナルな立場でも、患者さんに直接薬を処方する際、多くの不安が伴うこともあるそう。

メドピア代表取締役・石見陽

「『この薬は糖尿病を劇的に改善する』など薬に効果があることは大前提ですが、副作用が出た場合の最終的な責任は、製薬企業だけでなく、処方する医者にもあります。副作用の発現率が低いとされていても、目の前の患者さんに副作用が出た場合、医者は責任を感じます。
公式な説明書に「1回1錠」と書かれている場合でも、1回半錠から使うなど、医者の裁量で患者さんの最善を考えた処方ができます。
他の先生がどのような薬の使い方をしているのか、そういった「口コミ=集合知」が掲示板で活発に共有され、多くの医者にとって有益な情報源となっています。例えば、オレンジジュースと一緒に摂ると苦味が増すとか、チョコレートに混ぜると子どもが喜んで薬を飲んでくれるとか、本当に身近な話題がやり取りされています。
メドピアが最も価値を提供できている部分かもしれませんね」(石見さん)


日本におけるヘルステック業界の潮流を作るカンファレンス「Healthtech/SUM」

日本最大級ヘルステックカンファレンスHealthtech/SUM2022

ヘルステック業界のリーディングカンパニーとなっているメドピアが、ヘルスケア×テクノロジーという分野に取り組みはじめた当時は、まだ「ヘルステック」という言葉すらなかった時代でした。
まず、ヘルステックという分野を確立するために、石見さんがアメリカから日本に輸入したのがヘルステックカンファレンス「Health.2.0」でした。

「創設者のマシュー・ホルト氏にも来日していただき、小規模のイベントからスタートしました。2014年から本格的に取り組むようになり、3〜4年前からは、『Healthtech/SUM』という名称に変えて日本経新聞社との共催で開催するようになり、日本におけるヘルステック業界の潮流を作るイベントとして実施しています。
メインプログラムであるピッチコンテストからは、毎年数々のイノベーションが生まれています。
優勝者は日本経済新聞で取り上げられるなどのメリットがあります。『Healthtech/SUM』を通じて、大企業とベンチャーが協力して新しいプロダクトを開発することもあり、当初の意図を体現してきたと感じています」(石見さん)


企業の価値を高める「健康経営」

石見さん所有の聴診器

コロナ禍を経て、いかに従業員の健康を守るかが一層重要なテーマとなり、「健康経営」が注目されています。国のサポートも含め、日本は世界でも類を見ないほど健康予防の領域に力を入れています。

「予防領域で最も大きな課題は、「行動変容」です。何を食べるか、どのような生活習慣を持つかによって、予防の効果は大きく異なります。
しかし、日本の医療制度は非常に進んでおり、万が一病気になっても医薬品を利用しやすく、健康保険で広範にカバーしているため、国民の予防への意識が高まりにくい状況です。つまり、高度な医療環境が整っているがゆえに、予防の領域での新しい試みやチャレンジが進みにくいという側面があります」(石見さん)

これからの予防の領域において、エビデンスが特に重要視されていく、と石見さん。医療の領域で根拠に基づく医療が強調されているのと同様に、予防の領域でも具体的なデータに基づいたエビデンスが求められるようになりつつあります。

「メドピアグループでは健康経営に着目したサービスを展開しています。Mediplatでは、企業の健康経営の領域に焦点をあて、メンタルヘルスケアを含む『first call』というサービスを中心に提供しています。さらに、歩数計アプリをスギ薬局やCCCマーケティングに提供しています。また、フィッツプラスでは、健康保険組合を対象に、メタボ検診に引っかかった人に対して、管理医療士が食事指導などのサービスを提供しています」(石見さん)


ヘルステックで未来を拓くメドピアの挑戦

診察室での様子

「自分が一番のMedPeerユーザーです!」と語る石見さんに、メドピアが描くヘルステックの未来について伺いました。

「メドピアが提供するのはコミュニティサービスです。主要コンテンツである掲示板では、日常の悩みから政治や医療に関する話題、さらには具体的な診療の相談に至るまで、医師に特化した様々なテーマで情報交換が行われています。そのため、メドピアに登録する際は、医師免許の確認や勤務先への連絡を徹底し、コミュニティの円滑な運営を心がけています。

医師の目線から見ても、非効率性や問題を解決するためには、DXが不可欠だと感じています。医療の分野ではミスが許されず、テクノロジーの活用によってミスの減少と効率の向上が図られるべきです。真に現場に役立つDXが推進されるべきだと考えています。
また、テクノロジーを利用して、患者さんにさらに安心・安全で、効率的な医療サービスを提供することが私たちの使命だと思っています。

現在、メドピアでは、生成AIについてのプロジェクトを進めており、このAIを利用することで、求めていた論文やガイドラインの提案、書類作成のサポートなど、医師の業務効率化が図れます。これにより、医師が本来の医師業務に取り組むことで、患者さんにクリエイティブで、温かみのある医療が提供できるようになるでしょう。

メドピアが掲げているMission、「Supporting Doctors, Helping Patients.」を具現化するため、私たちが持てる影響力を最大限に活用し、より大きな社会貢献を実現したいですね」(石見さん)

ヘルステックを通じて、社会に新しい価値を提供する独自のポジションを築いているメドピア。石見さんとメドピアの挑戦は、医師と患者さん双方に真の価値を提供する未来への扉を開き、医療の新たな可能性を示しています。これからもヘルステック業界を牽引するフロントランナーであり続けてくれることでしょう。

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