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現役臨床医が解説!NISA利用率をMedPeer医師会員に調査

少額からの投資を行う方のために2014年1月にスタートした少額投資非課税制度「NISA」。2024年1月からは新NISAが始まったことが話題となっています。

年金の支給額が徐々に引き下げられていくなかで、老後に備えた資産形成はもはや必要不可欠であり、NISAもその有力な選択肢の一つと言えるでしょう。

そんな話題のNISAですが、医師のうちどれくらいの方がNISAを利用しているのでしょうか。
医師専用コミュニティサイト「MedPeer」で医師のNISAの利用率に関するアンケートが行われました。今回はそのアンケート結果についてご紹介いたします。


NISAを利用しているか医師2,500名にアンケート実施

2024年5月19日に2,500名のMedPeer会員医師を対象に「2024年1月から新NISAが始まりました。皆さまはNISAを利用していますか。」といったアンケートが行われました。

結果は「NISAを利用している」が最も多く52.8%となりました。「現在は利用していないが、検討している」が23.0%「現在は利用しておらず、今後もする予定はない」が24.2%という結果でした。

一般の方のNISA利用率は31.6%だったという調査結果(※)と比べると、医師のNISA利用率は高いと考えられます。一方で、まだ47.2%の方がNISAを利用していないというように、投資に対して慎重な姿勢を貫かれている方も少なくないようです。

※)楽天インサイト株式会社 実施「資産運用に関する調査」2024年1月

また、年代により大きく傾向は異なっており、年齢が低いほど利用率が高い傾向が見受けられました。

NISAを利用している医師の意見まとめ


NISAとiDeCo、ふるさと納税が節税、資産形成の三種の神器だと個人的には思っています。節約やポイ活も含めてやれることは山ほどあるんですけど、やらない人が多いのが謎
20代以下 男性 勤務医 その他

今のところ6パーセントくらいプラスです。今後どうなるかはわかりませんが、インデックスなら大きな損失はないと思いますし、ただでさえ税金が半端ないので続けようと思います。
30代 男性 勤務医 漢方医学 感染症科 精神科

普通預金だけでは永久に額面は増えない。NISAもイデコも始めてから含み益は増え続けており、心の余裕ができました。
40代 男性 勤務医 アレルギー科 感染症科 小児科

新NISAの前から使っている。というよりも20年位前から資産運用を任せており、NISAも使ってもらっている。
50代 女性 開業医 皮膚科

公立病院に長期在職で手厚い共済年金を受給できる一部の先生方などを除き、我々勤務医の年金は微々たるもの。NISAでもidecoでも自助努力が必要。
60代 男性 勤務医 老年内科 心療内科 精神科 産業医


NISAを利用している医師は最近の円安、株高の流れに乗ってうまく利益を出している方が多いようです。
自分で運用している方もいれば、人に運用を任せてNISAを利用している方もいます。医師は高収入ですが支払う税金も多いので、非課税で投資できて手元にお金が残りやすいNISAには魅力を感じている方が多いですね。

NISAの利用を検討中の医師の意見まとめ


時間的に余裕がないが、節税ができるのでいつかやりたいと考えている
30代 男性 勤務医 代謝・内分泌科

今は仕事やプライベートが忙しいので、始める時はしっかり勉強してからやりたい。
40代 男性 開業医 眼科

銀行にお金を預けていても全く増えない。開業後も期待していたほど貯蓄は増えない。将来のことを考えると何らかの投資は必要と思いますが、まだ踏み切れません。
50代 女性 開業医 皮膚科

今最高にお金がない。子供の教育費などで何とか借金せずに暮らしています。もう少しして資金ができたら開始します。
50代 男性 勤務医 一般内科 感染症科 アレルギー科 呼吸器内科 その他

今は、株高なので買い時ではないと思います。中国と台湾に何かあれが下落するかもなのでその時は買います。
50代 男性 勤務医 消化器内科 一般内科

年齢的に短期投資となるので為替や株価の動きをみて利用したいと思っている。
60代男性勤務医一般内科リハビリテーション科


NISAの利用を検討中の方は、投資は必要であるとNISAについて前向きに考えてはいるようです。
しかし、「忙しくて勉強する時間がない」「資金に余裕がないのでできない」「今は株高で買い時ではない」などの理由からまだ購入には至らず検討中という方が多かったです。

大切なお金を投資するには、ある程度しっかりと勉強して、仕組みを理解して納得した上で投資する必要があります。
しかし、医師は忙しいので投資の勉強をする時間がなかなか取れないものですよね。投資の勉強よりも本業である医学の勉強の方が優先されるので仕方がないことかと思います。

NISAを利用していない医師の意見まとめ


管理に時間・手間をかけるより、当直をしたほうがいまは稼ぎがいいから
40代 女性 勤務医 耳鼻咽喉科 その他

少しでもリスクのあるものには手をだしたくない。もし自分が亡くなった時に妻や子供に引き継ぐ案件が多くなり面倒。
50代 男性 勤務医 消化器内科

正直、現時点で投資はしていません。好きではないし、やりたくもないので、頑張って働きます。
60代 男性 勤務医 一般内科 神経内科

晩婚で子供にかかる費用がバカにならず、医師の収入が40年以上も据え置きで、物価など考えると却って減少する中では、NISAなど資金運用するような余裕は正直ありません。医師全体はまだ余裕がある人が大半なのでしょうか?僕には全く現実味がありませんが・・・!?
60代 男性 勤務医 一般外科

特定口座で日本株の分散投資をしているけど、NISAでは損益通算ができず、細かく利益を確定したり損切りしたりする場合に、特典がありません。(中略)NISA枠では合計額が少なく、ある程度の資金を運用する場合にはメリットはないでしょう。
70代以上 男性 開業医 一般内科 呼吸器内科 アレルギー科


NISAを利用していない医師は50代以降の年配の医師が多いようです。
世代としても投資に馴染みがある方は少なく、どちらかというと懐疑的。「投資よりも貯蓄 ー 働いて貯める」といった考え方に馴染みがある方が多いのかもしれません。

一方、多くの資産があり、NISA枠は資産額と比較して合計額が少ないためメリットがないといった既に資産があるがゆえに利用する必要はないといった羨ましい意見もありました。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
同じ医師でも年齢や働き方、家庭の事情などによってNISAに対する考え方が全く違っていました。
しかし、20〜30代の若手医師の多くは将来に不安を感じている方が多く、資産形成の一環としてNISAを利用している方が多いようです。

私も30代勤務医ですが、NISAでS&P500や全世界株式(オールカントリー)などの投資信託を購入し、円安の影響もあり利益が出ています。
私の周りの若手医師でもNISAを利用している方は多いです。「NISAで何を買っているか?」などの資産形成についても医局で度々話題になることがありました。
個別株を買うほど投資に熱中している方は少ないのですが、それほど投資に興味がない方でもS&P500や全世界株式(オールカントリー)などの投資信託を買っている方が多いです。

医師は年収が高いため投資に多くお金をまわすことができ、資産形成に有利と言われています。
一方で、医師は転勤が多く十分な退職金がもらえない方も多いです。
というのも、医局に所属する常勤医は、転勤(人事異動)が多く数年おきに病院を転々とするケースもあり、転勤のたびに勤続年数がリセットされるため、退職金が低額になりやすいと言われています。
また、複数の非常勤を掛け持ちするフリーランスのような医師や開業医は、基本的には退職金がないです。
加えて、診療報酬(※)が国により定められており、医師自身が稼げる額を自由に決められず収入に限界があるという考え方もできます。

※)診療報酬とは…公的医療機関で医療行為を受けたときに支払う対価。厚生労働大臣が定めた医療行為一つひとつに金額(点数)が定められている

そのような医師特有の事情から、医師は自分で収入を運用し資産を作っておく必要があると言えるでしょう。

あくまで投資は自己責任ですが、老後に備えてNISAくらいは始めてみた方がいいと私は思います。
あなたはNISAを利用していますか?

解析・文:スバル@精神科医(X: @subaruseisin

編集部注)本記事は一般社団法人正しい医療知識を広める会の協力で執筆いただきました。

一般社団法人正しい医療知識を広める会
正しい医療知識を広めるという理念のもと、質の高い専門知を発信する専門家を増やすためのプラットフォームとしてアザラシライティング塾を運営中。医学生から教授まで、200人以上の多種多様な背景を持つ医師が在籍。


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