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文化や価値観の違いを認め合いながら、進めた経営統合ーークラウドクリニックが新たに目指す在宅医療の未来

在宅医療事務のアウトソーシングサービスを提供する株式会社クラウドクリニック。2022年5月にメドピアのグループに入ることを発表して以降、さらなる成長を続けています。この1年以上をかけて実現した成果や新たな取り組みについて、クラウドクリニック取締役ファウンダーの川島 史子さんと取締役の筒井 康浩さんに話を聞きました。


目指す方向が同じだからこそ、グループシナジーを最大化できる

――クラウドクリニックが行っている事業について教えてください。

川島さんクラウドクリニックは、在宅医療事務のアウトソーシングサービスを提供しています。具体的には、書類作成代行、カルテの記載代行や要約作業、診療報酬算定・チェック、コールセンター、多職種連携のサポートなど在宅医療に関わる事務業務全般を支援しています。クラウドクリニックのサービスを活用していただくことで、在宅医療に携わる医師の業務負荷を軽減して、医師が病気の治療だけでなく、患者さんやご家族に向き合える環境を作っていきたいと考えています。」

――2015年の創業から、どのように会社を大きくしてこられたのでしょうか。

川島さん「創業時は私と数人のパート社員だけで運営していました。その後、子育て中や介護中でも働きやすい仕組みを作ったことで、社員紹介でメンバーがどんどん増えていきました。と言うのも、求人に応募してくださる方は女性が大半で、フルタイムは難しいけれど短時間なら働けるという方だったんです。『働くにあたって"時間"や"場所"という物理的な制限があるだけで、彼女たちのキャリアを埋もれさせてしまうのはもったいない、活躍を後押ししたい』と考え、時間的な制約がある方でも働けるような組織にしたんです。
そうは言っても売上が上がらなければ、雇用はできません。売上と働きやすさのバランスを保ちながら、少しずつ会社を拡大していきました」

――2022年にメドピアグループ入りをしました。グループ入りを決断したのはどういった背景や理由からだったのでしょうか。

川島さん「2015年12月創業後、サービスをリリースした2016年当時から、クリニックから新規の依頼や問い合わせがあっても、手が回らずにお断りすることが多かったんです。『安心して在宅医療を選べる世の中にしたい』と思って会社を立ち上げたのに、お断りしなければならないことに歯がゆさを感じていました。そんなとき、以前から相談に乗っていただいていたメドピアの代表取締役社長 CEOである石見さんに、『一緒にやりませんか』と声をかけてもらったんです。私たちがサポートするのは医師ですが、『その先にいる患者さんへのより良い診療につながるように』という思いをもってやっていますから、メドピアのミッション『Supporting Doctors, Helping Patients. 医師を支援すること。そして患者を救うこと』と目指す方向は同じです。患者さん中心の医療になるように地域包括支援サポートや地域医療連携支援などにも取り組みたいと考えていたけれど、まだ着手できていなかったテーマも、メドピアとなら早く実現できるのではないかと思い、グループ入りすることを決めました。
また、7年間クリニックのバックオフィス業務のサービスを提供している中で医療事務的なサポートに加えて、症例相談など医師による課題解決が求められる場面が出てきたんです。『MedPeer』は全国の医師が経験やナレッジを"集合知"として共有し合うプラットフォームなので、『MedPeer』の力を借りることができればと思ったことも理由の一つです」

――筒井さんはメドピアから入られた立場ですよね。メドピアグループとしてはクラウドクリニックと一緒にやっていくことにどのようなメリットがあったのでしょうか。

筒井さん「石見さんは自身で病院も経営する中で、『在宅医療は今後間違いなく伸びる』と予想していました。メドピアとしては在宅医療領域にもビジネスを拡大していきたいけれども、自分たちで立ち上げるのは大変。そんな中でクラウドクリニックとご縁があり、企業として成し遂げたいことや、実現したい未来像が近いクラウドクリニックであれば、一緒にうまくやっていけるのではないかと考えました」

グループ入りで環境が変わったからこそ、思い切った改革ができた

――メドピアグループに入って、どのような変化がありましたか。

川島さん「最大の変化は、この1年強で従業員数が約2倍になったことです。グループ入りする前は、マネジメントとして私の目が行き届く社員数は30人までだと思っていたので、それ以上組織を拡大することはありませんでした。そういった事情から当時、クリニックからの新規の依頼や問い合わせがあっても人手が足りず、お断りをせざるを得ない状況だったんです。なので、まず人を増やしましょうと。
そして、社員数の増加にあわせて組織体制もアップデートしました。今までクラウドクリニックはフラットな組織体制で運営を行ってきており、役職を設けず、それぞれが自律分散的に稼働する組織スタイルでずっとやってきました。しかし、今後の組織拡大を見据えて社員数が増えてもマネジメントが機能する組織となるために、キャプテン、サブキャプテンという役割を設けて階層を作ることにしたんです」

筒井さん「それまでメンバーの皆さんは何かあったらとにかく史子さんに相談しようという意識でした。しかし、キャプテン制の導入後はまずキャプテン、サブキャプテンに相談して、現場で解決できるようにしてもらいました。判断が難しい場合はエスカレーションして相談をもらっていますが、コミュニケーション・フローを変更したことで、自分で考えて意思決定できるキャプテン、サブキャプテンが増えてきています。そのおかげで順調に社員を増やすことができ、現在直接雇用で約80人、フリーランスやパートナーといった間接雇用も含めると100人を越える組織になりました」

――組織体制やコミュニケーション・フローを変更することで混乱はなかったのでしょうか。

川島さん「もともと、『失敗を恐れずチャレンジしよう』という文化がありましたから、大きな混乱はありませんでした。『キャプテン、サブキャプテンに選んでもらって嬉しい』と話すメンバーも多く、むしろ信頼関係は強くなったような気がします。キャプテン、サブキャプテンたちが自律自走していく姿は頼もしくある一方、正直、寂しさもありましたね(笑)」

――業務内容では何か変化がありましたか。

筒井さん「メドピアグループに入ってから3ヵ月後に、『業務標準化プロジェクト』を立ち上げました。これまではクリニックごとの要望に寄り添うがあまり、オプションが際限なく広がってしまっていたんです。とはいえ、このプロジェクトの目的はサービスを画一化することにあるのではなく、一旦、現状のサービス・ラインナップを整理し、標準化したうえで、そこから改めて在宅診療に携わる先生たちが必要とするサービスを構築していこうという視点で進めています。書類作成代行業務の進め方を型化して新規の受注案件をスムーズに立ち上げられるようになるなど、徐々に成果が出てきているところです」

強みを生かし、弱いところを補いながら、ともに成長する

――川島さんはグループ入りに不安はなかったのでしょうか。

川島さん「もちろんありました。ただ、康浩さんはじめメドピアグループ全体が、事業だけでなく、カルチャーも含めてクラウドクリニックを理解しようと、丁寧にコミュニケーションをとってくれました。今までクラウドクリニックが培ってきた企業文化や風土を大切にしながら、メドピアグループに入るための基盤を整えてくれたので、スムーズに進めることができたと思っています」

筒井さん「クラウドクリニックのメンバーが日々取り組んでいる業務は医療現場の実務そのもので、クライアントである医療機関の運営において非常に重要な役割を担っています。そのため、私はクラウドクリニックの経営に携わるにあたって、まずはクラウドクリニックで行われている全てを受け入れることを心に決めていました。分かりやすい例で言うと、クラウドクリニックでは役職関係なく、ファーストネームでお互いを呼び合う文化があるんです。なので、私も社会人になって初めて、下の名前で"康浩さん"と呼ばれています。最初は照れくさかったですが、今はもう慣れました(笑)

もちろん上場企業のグループ会社としてガバナンスなどは整える必要がありました。しかし、それ以外のカルチャーやコミュニケーションの在り方についてはそうなった背景や理由があるはずなので、それらの文脈を理解するところから取り組みました」

――川島さんと筒井さんで役割分担のようなものは決めていたのでしょうか。

筒井さん「グループ入りした当初は、営業は史子さん、業務の方は私が担当するということでスタートしましたが、そもそも史子さんと私では全く強みが違います。史子さんは人を惹きつけるカリスマ性のようなものがあります。医師とのコミュニケーションもうまくこなせるし、なによりメンバーたちが『こんな人になりたい』というようなキラキラした目で史子さんを見ているんですね。なぜこんなに慕われるのか不思議に思っていましたが、一緒に仕事をしてみるとすごく愛にあふれていて、メンバー一人ひとりをまるで自分の子どものように大切に思っていることがわかる。そこは史子さんならではの強みなので、これからも全力で生かしてもらいたいなと思っています」

川島さん「康浩さんの最大の強みは、現場色の強い私たちが一番苦手とする言語化や数字化、図表化ができるところですね。今までやってきたことがマニュアルとして整備されることで、メンバーたちのマネジメントがしやすくなりましたし、テキスト化が進んだことで情報共有がスムーズにできるようになり、業務効率が上がりました」

筒井さん「私の役割は『こういう強みがある会社だよ』ということを広く伝えていくことなので、誰にでもわかるように言語化することは非常に重要です。逆に史子さんやメンバーが、会話の中で言葉の数が少なかったり、曖昧な表現で伝達された場合であっても、顔の表情や体の動き、声のトーンといった非言語の部分から情報を読み取って、物事を進めていくことが私にとってはとても不思議でした」

川島さん「医療従事者同士の会話ということもあり、カンファレンスのように主語がないまま阿吽の呼吸で話を進めていて、一般的なビジネスコミュニケーションと異なることに私たち自身、気づいていなかったんです。けれど組織として成長していくには、それでは通用しない。康浩さんからは日々、学ぶことばかりです。

私個人にとっても、康浩さんやメドピアという相談相手ができたことで資金のことや、労務、人事といったピープルマネジメントなどをタイムリーに相談できるようになって、だいぶ肩の荷が下りました」

メドピアのプラットフォームを活用し、サービスを広げたい

――今後、メドピアグループの一員として取り組んでいきたいことはありますか。

川島さん「医療や介護が必要になっても、可能な限り住み慣れた地域で医療や介護支援を受けながら自分らしく暮らしていく『在宅療養』という考え方があります。もともとクラウドクリニックでは、在宅医療と介護の連携をクラウド上で実現するようなサービス設計をし、『在宅療養』を広めていきたいという想いがありました。メドピアグループの一員となったので、今後はグループ・シナジーを最大限活用して、メドピアの皆さんと一緒に『在宅療養』という考えを広めていけるようなサービス開発をしていきたいですね」

筒井さん「メドピアには、医療機関DX支援を行っている『やくばと』などもあるので、将来的に連携していくイメージがもてますね。地域包括ケアとして多職種がしっかりコミュニケーションをとって、地域の患者さんを地域で守っていくという文脈の中で、今後広げていくべきサービスだと考えています」

川島さん 「一年以上かけて組織を強固にしてきたので、これからはクライアントももっと増やしていきたいですね。クラウドクリニックはまだまだ認知度が低いため『MedPeer』のプラットフォームを活用すると同時に、『MedPeer』の会員になっていない医師の方々にも知ってもらうためにデジタルマーケティングに取り組んだり、在宅医療関連の学会に出展したり、全方位的にPR活動を展開していきたいです」

――クラウドクリニックで共に働く仲間に期待したいことを教えてください。

川島さん「一人ひとりが経営者意識を持ちながら、自分で考え、ほかのメンバーとの関係性のなかで動き、仕事を進めていってほしい…この思いは創業時から変わりません。メドピアグループ入りは『第二の創業』だと思っているので、新たに入ってくる方たちと新しいクラウドクリニックを一緒に作り上げていけたらと思っています」

筒井さん「クラウドクリニックは、在宅医療の医療事務のあり方を変えていくことになるだろうと思っています。常に変化する環境を楽しめる方、自らも変化を起こそうとする方と一緒に働きたいですね」


在宅医療事務アウトソーシングサービスを提供するクラウドクリニック

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