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全部語ります。事業部Vision策定までの道のりと未来【前編】

事業部の運営や成長には、メンバー全員が同じ方向に向かうための明確な指針が必要とされています。特に、MVV(Mission・Vision・Value)の策定は、組織の方向性を明確にし、チーム全員が共通の目標に向かって進むための重要な道標(みちしるべ)です。

そこで今回は、医療機関のDXを支援する「やくばと」、かかりつけ薬局化支援サービス「kakari」を手がけるメドピアの医療機関支援PF事業部(以下、MISP)で実際に取り組んだ「Mission・Visionプロジェクト(以下、MVプロジェクト)」をご紹介。
どのようにして事業部のMVを作成したのか、そのプロセスを通じて得た知見を、プロジェクトリーダーの石川さん、現在セールスのマネージャーであり、今後MVを浸透させていくオンボーディングプロジェクトのマネージャーを務めていくことになる平尾さんに聞いてみました。

本記事は前編(事業部Visionを策定するに至るまで・Vision発表!)後編(MVプロジェクトを振り返って・未来)に分かれております。
後編をご覧になりたい方はこちらからどうぞ。

Visionはメンバーの心をひとつにする共通言語

当時の苦労を思い出しながら語ってくださった石川さん

ー事業Missionを作ろうと考えた背景、当時の事業部の課題について教えてください。

石川:当時、事業を牽引してきた事業部長がMISPを離れるタイミングでした。MISPを1つのベンチャーと考えると、創業者がいなくなるような状況だったんですよね。もちろんメンバーは残るので、文化として受け継がれる部分はありますが、人が変わっても組織として変わらずに目指すべきものがあった方がよいのではないかという話が出ました。みんなの共通言語として、Vision、Missionを持つべきだという話が持ち上がり、プロジェクトが始まりました。

平尾:私がメドピアに入社した当時は社員数が100人未満で、皆が同じ方向を見ながら仕事をしている感覚がありました。
メンバーが増えたことで、働き方や働き方に関する価値観がさらに多様化してきたと感じています。私自身も子どもができてから働き方が変わりましたし、リモートワークによって就労環境も大きく変化しました。こうした変化を経験する中で、事業Visionがあることの重要性を強く感じるようになりました。

ー 目指すところが事業部内のメンバーそれぞれで違うということはあったのでしょうか?

石川:ひとことで「MISP」といっても複数のサービスがあり、それぞれで見ている世界が異なるという部分があったと思います。さらに、事業軸だけでなく、ビジネスサイドやエンジニアサイドなど、バックグラウンドが異なるメンバーが集まっているため、それぞれの考え方も少しずつ異なっていました。そうした中で、MISPとしてどうやって1つのまとまりにしていくのかという議論があがり、その解決策の1つとして皆の共通言語を作り上げていこうという機運が高まったというのが、MV策定に至った背景ですね。

ー Vision策定にあたり、メドピア代表の石見さんにも相談したと伺っていますが、どんな反応だったのでしょうか?

石川:Mission・Visionを考えるにあたって、まずはプロジェクトメンバーがメドピアの原点を理解しようという話になり、メドピアのCEO・石見さんとのディスカッションの機会をいただきました。

石見さんにはメドピア立ち上げ当初のエピソードやそのときに石見さんが考えていたこと、石見さんの医師としての想い等を伺いました。

そのディスカッションの中で、「会社のMissionはスタート地点、つまり変わらない原点であるべきだ」という想いを聞き、それが私たちにとっても非常に納得できるものであり、共通認識が生まれました。実際、私たちの組織では、メドピアグループとしてのMission「Supporting Doctors, Helping Patients.」という言葉が日常的に使われていて、すでに定着しているという感覚がありました。
一方、「Visionは各事業体が目指すべき異なるゴール、つまり登るべき山である」という考え方になりました。「登る山はMISPとして持ってもいいよね」という考え方から、最終的に事業Visionを作ろうという考えに至りました。

「産みの苦しみ」を体感した、言葉をひねり出す過程

ー事業Visionを作ろうとなった際、まずはどのようにプロジェクトを進めていったのでしょうか?

石川:部内公募のスタイルでプロジェクトがスタートしました。募集が始まった瞬間に上司に「やりたい」と伝え、参加させてもらうことになったんです。過去にVisionやMissionを考えるワークショップを経験していたこともあったので、プロジェクトに貢献できると思い応募しました。結果的にプロジェクトリーダーを任されることになりました。最初に手を挙げたメンバーでスタートし、適宜新たなメンバーにも加わってもらい、プロジェクトが少しずつ大きくなっていきました。

ープロジェクトでは具体的にどのような取り組みを行っていったのでしょうか?

石川:2023年の12月にプロジェクト初のワークショップを行いました。テーマは「なぜMISPにVisionやMissionが必要なのか」。そのテーマについて議論するために、まず最初に取り組んだのは、「メドピアの成り立ちを知らないメンバーが多い」という認識から、自分たちを知ること、そして、社会全体を見た時に、どのような企業がVisionやMissionを掲げているのかを事例として調べました。また、医療業界の動向を知ることも重要だと考え、そうした外部の視点も取り入れて進めていきました。

自分たちを知り、他を知る。この2つをまず実施したことがMissionやVisionの策定に大いに役立ちました。
その後、2024年5月と6月にもワークショップを行いました。プロジェクトが始まってからは、プロジェクトメンバーで話し合いを重ねる時間が多くなり、最終的には、月1回から週1回のペースでワーディングを詰める話し合いを行っていきました。

ー Vision策定にあたり苦労した点はありますか?

石川:最終的に言葉に落とし込むところが一番難しかったですね。もちろん、自分たちのこれまでを振り返り、メドピアを深掘りしたり、石見さんの話を聞いたりすることはできました。また、他社の事例を調べたり、医療業界の動向を見たりと、他を知ることも普段から情報収集をしているメンバーだったので、自然にできていたように思います。

しかし、そこからどういう言葉に落とし込むのかという段階で、想像以上に時間をかけて話し合いました。メンバーから「殴り合いになるんじゃないかという議論もあった」と当時を振り返ってコメントがありましたが、それくらいピリピリした空気感での話し合いでした(笑)
最後の方は、5分も10分も沈黙が続く中で、言葉をひねり出すような場面もありましたし、まさに産みの苦しみでしたね。

特に、組織として言葉にする場合、事業部内にもいくつかのサービスがあり、またエンジニアやセールス、PdM(プロダクトマネージャー)などのさまざまな職種、バックグラウンドのメンバーがいます。その中で、どの言葉が適切なのかを見つけるのは難しかったですね。
具体と抽象を行き来しながら、「ここはもっと具体的にした方がいいのか」「でも具体的にすると他のことが言えなくなる」「抽象的すぎると普段の業務で意識しづらくなる」などという葛藤がありました。しかし、この突き詰めて考えるプロセス自体が重要で、自分たちがやっていることの解像度がどんどん上がっていくような感覚がありました。

事業Vision発表!

ーそれでは、いよいよ(!)新たに策定したVisionを発表してください。

石川:新たな事業Visionは「医療をつなぐ『よりどころ』となる」です!

ーどのような思いが込められているのでしょうか?

石川:まず「つなぐ」というのは、自分たちの事業の価値を表す際の表現として、最も現在のメンバーがしっくりしてきていたということがありました。

もともと漠然としたイメージはあったのですが、実際に事業部のメンバーがどんなことを考えているのかを知りたくて、「あなたが考える事業Visionを教えてください」というアンケートを取りました。集まった回答を分析すると、半数以上の方が「繋ぐ」という言葉、またはそれに類する言葉を使っていました。これを受けて、多くの人が「繋ぐ」ことに価値を感じていることが明らかになり、私たちもこの言葉をVisionに取り入れるべきだと意見が一致しました。

さらに、「何を繋ぐのか?」や「誰と誰を繋ぐのか?」といった議論を経て、最終的には「医療をつなぐ」という表現に落ち着きました。これは、我々が繋ぐものが、医療機関同士、医療機関と人、あるいは医療機関と患者さんといった多様な要素を含むため、それらを包括する一言として「医療」という言葉が最も適切だと考えたからです。このようにして、「医療をつなぐ」というVisionが生まれました。

ー「繋ぐ」という言葉が一番多く出たというお話がありましたが、これは皆さんが、プラットフォームのような存在になるというイメージが強かったからでしょうか?

石川:いくつか要素はあると思いますが、一つは「プラットフォーム」という考え方があるかもしれません。もともと手段としてDXやプラットフォームという言葉がある中で、私たちが取り組んでいること自体が、医療機関と患者さんを繋ぐものだという認識がありました。また、プラットフォームとして医療のインフラを整えていくというイメージを持っている人もいました。さらに、架け橋になりたい、つまり「繋ぐ」ことによって交流が生まれるような存在になりたいという意図で、その言葉を選んだ人もいました。最終的に多くの思いを包括し「つなぐ」という言葉に行き着きました。

ーもう1つのキーワード「よりどころ」という言葉には、どんな思いが込められているのでしょうか?

石川:我々が目指すべきところについて考えたとき、なかなかしっくりくる言葉が見つからなかったのですが、最終的に「よりどころ」という言葉に落ち着きました。この「よりどころ」という言葉に落ち着いた理由は、医療を受ける人々も、医療を提供する人々も、日々切実な悩みを抱えており、困ったときに真っ先に頼ってもらえるような存在でありたいという想いからです。
「よりどころを作る」のではなく、「よりどころとなる」としたのは、手段としてのよりどころではなく、我々自身が困っている人たちのよりどころになりたい、そういう存在でありたいという意図からです。このような思いを込めて、最終的に「よりどころ」という言葉を選びました。

後編へ続く

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