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過去、現在、未来。「在宅医療」の最前線を語る

2040年に高齢者人口が最大化するなど高齢化社会の加速、生産年齢人口の減少により在宅医療の重要性が高まっています。在宅医療の現場はどのようになっているのでしょうか。
1996年に開業し、在宅医療を提供している医療法人 平成医会 理事長の島田 潔さん、在宅医療を担うクリニックのアウトソーシングサービスを手掛ける株式会社クラウドクリニック 取締役ファウンダーの川島史子さん、そして医師でありメドピア株式会社 代表取締役社長CEOの石見 陽さんが、在宅医療について語ります。
在宅医療の変化が私たちの日常生活に何をもたらすのか、そしてその変化をどのように受け入れ、活用していくべきかを探求します。

メドピア 在宅医療
(写真左から)メドピア株式会社 代表取締役社長CEO 石見 陽さん、株式会社クラウドクリニック 取締役ファウンダー 川島史子さん、医療法人 平成医会 理事長 島田 潔さん

在宅医療の過去と現在

「在宅医療」と呼ばれるようになったのは、27年前。医療従事者が直面する現場のニーズに応える形で取り組みがはじまりましたが、在宅医療に専念する医師はわずか。そんな時代に、島田さんは在宅診療所を開業しました。

「当時勤務していた病院で予定していた外来日に現れない患者さんが、薬が切れてしまって数か月後には再入院する、という姿を見ていて、家庭に医療を届けようと思い開業しました。
在宅医療の診療報酬が手厚くなったのは、2006年に在宅療養支援診療所の制度が設立されてからです。私が開業した当時は、近隣の先生から『島田先生、往診だけで食べていくのは無理じゃないか』と言われることもありました。
現在では、在宅医療の報酬体系が大幅に改善され、在宅療養支援診療所としての役割はより重要になってきています。」(島田さん)

島田さんが在宅医療を始めた当時は介護保険導入前。訪問先で医師や看護師がケアマネジャーに代わる役割を果たすことも珍しくなかったと言います。
「2000年の介護保険導入後、医療機関での医療提供環境が大きく改善されました。在宅医療にとって大きな変化であり、医療を提供する上での大きなサポートになっています。」(島田さん)

在宅医療を担うクリニックのアウトソーシングサービスを提供する「クラウドクリニック」

在宅医療を選べる世の中にしていきたいという想いから創業、2022年よりメドピアグループの一員となった株式会社クラウドクリニック。現在は、在宅医療を担うクリニックをアウトソーシングでサポートすることに特化したサービスを提供しています。

「長年医療業界にはいたのですが、父の末期ガンがきっかけで、2014年に初めて在宅医療を知りました。それと同時に、結婚や出産で辞めていく優秀な看護師や医療事務のスタッフを見て、(退職するスタッフたちも)アウトソーシングとしての役割であれば、支援できるのではないかと思うようになりました。その時期にちょうど、クラウド型の電子カルテが出始めていて、在宅医療の現場で必要とされるサービスがあることを感じました。そこで、色々な先生方に同行して、在宅医療で何に困っているかを直接聞き、どんなサービスが求められているのかを探りました。それが、クラウドクリニックを始めるきっかけになっています。」(川島さん)
2024年は医師の働き方改革がスタート、タスクシフティングが注目されている今、多くの医師がクラウドクリニックのサービスを利用しています。
島田さんもそのサービスを活用した医師のひとりです。

「開業してから27年になりますが、患者さん2,500名分すべてが紙のカルテでした。電子カルテに切り替えるときに川島さんにサポートしていただきました。」(島田さん)

在宅医療の現場で求められるテクノロジーの活用

新型コロナウイルスのパンデミックを経て、2023年に在宅医療の現場では新たな課題が浮上。在宅医療におけるスタッフや患者さんご家族に対するコミュニケーションの重要性を改めて認識させられることになります。

「地域包括ケア構想の中心には患者さんやご家族がいて、訪問診療・在宅療養の領域においては、医療と介護、そして福祉という、普段医師が触れないような領域にも介入しないといけません。メドピアグループとしては、訪問診療・在宅療養の領域でテクノロジーを使って、役立つサービスを提供していきたいと考えています。」(石見さん)
訪問診療・在宅療養の現場でどのように効率化を図るかという問題において、テクノロジーやソーシャルネットワークはもちろんのこと、人と人との距離を縮めるときには、文字情報などの共有だけでは不十分な側面もあります。
しかし、島田先生は、「人間は意外と柔軟だ」と語ります。
「初めてテレビ会議を利用したときはなかなか受け入れられなかったのが、今では多くの人にとって便利なツールになっています。TPOに合わせて活用すれば、テクノロジーも活用できると思います。
在宅医療を長くやっていても、医師は医療的な観点から物事を見がちです。ケアマネージャーは生活の背景から、看護師は看護的なケアからと、この異なる視点が1つのパズルのように組み合わさると、ソーシャルネットワークのようなツールをうまく取り入れることができ、より良い連携が可能になると考えます。
ただし、プライバシー保護が必要な非常にデリケートな情報であるため、インターネット上のリスクを考慮しつつ、テクノロジーの発展を進めることが望まれます。」(島田さん)

人の温かみが感じられるテクノロジーを活用したサービスを

”医療は触って終わるもの”ということをテクノロジーの会社として決して忘れてはいけない、と石見さん。
「医療・介護の温かみ×テクノロジーであることを忘れてはいけない。テクノロジーを利用しても、その温かみや人間らしさを提供することが重要です。
そして、医療資源が限られている中での訪問診療では、必要に応じてその回数を調整する柔軟性が求められます。たとえば、月2回の訪問が必要ない場合はタブレットを使用するなど、テクノロジーを活用した遠隔ケアが可能です。また、月2回では足りないときは、連続して訪問するなどして、患者さんのニーズに応えることが大事です。」(石見さん)

ChatGPTを含む生成AIなど最新技術が続々と登場している今、効率性を上げつつ医療サービスの質を担保していく上で、テクノロジー×クラウドクリニックの展望について、川島さんに聞いてみました。

「私たちのチームは看護師と医療事務のメンバーで構成されています。コンタクトセンターとして電話のやり取りや、医師と患者さんとの間のコミュニケーションなどにおいて、医療の現場でまだ実現していないことにICTを活用してサポートに取り組んでいます。現在、新たなサービスの準備をしていますので、これから仕掛けていきたいと思っています。」(川島さん)

医師と患者さんだけでなく、医療従事者間のコミュニケーションにおいても、人間の温かみという要素は不可欠。メドピアグループが考える在宅医療の現場におけるテクノロジーの在り方とは?

「私たちはテクノロジーを背景にしながらも、人間同士の関係性を大切にすることの重要性を感じています。これからも、新しいテクノロジーを積極的に取り入れつつ、医療の質と人間性を両立させるサポートを提供していきたいですね。」(石見さん)

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