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【医師調査】診療科の転向、考えたことある?

医療分野は専門分化を進めることで進歩を遂げてきましたが、一度診療科を決めてしまうと変更が難しいという実態があります。
医師専用コミュニティサイト「MedPeer」にて、医師を対象に「診療科の転向を考えたことがあるか」についての質問が投げかけられました。
実際に転向をした経験があるのでしょうか?
その選択に至った理由や、今だからこそ感じる診療科の魅力についても探っていきます。


診療科を転向した医師は約15%。50%以上の医師が「転向を考えたことがない」と回答

調査日:2024年10月9日(水)

診療科の転向を実際に行った医師は全体の15.1%となり、56.1%の医師が「診療科の転向を考えたことがない」と回答しました。多くの医師が自身の専門分野を選んだ後、その分野でのキャリアを続けていることがわかりました。
しかし、約4割が転向を考えたことがあると回答している点も見逃せません。

転向を考えたことはない

70代以上 男性 勤務医 一般内科
いろいろな診療科を考えて臨床実習を受けそのうちに心臓外科医になりたいと思いましたが、子供のころから持っていた医師のイメージとある程度年を取っても第一線で医師を続けたいと思い循環器内科のある出身大学の教室をを選びました。その後転科を考えたことはありませんしこれでよかったと思っています。

50代 女性 開業医 皮膚科
部活の先輩に内科への転科を強く勧められた時期があった。自分の所属した医局が教授選挙や諸々でかなりもめていたため心配してくださったが、そのまま皮膚科を続けた。特に後悔したこともなく、人にも恵まれた。

50代 男性 勤務医 整形外科・スポーツ医学
「〇〇科は救急や当直もなくて、収入も良くてイイなー」とか羨ましく思ったり、次に生まれ変わったら、あの科にしようとか、夢想したことは多々あるが、今生で転科を現実的に考えたことは無い。

40代 男性 勤務医 放射線腫瘍科
現在の診療科に進む段階では、もしも合わなかったら別の診療科に転向しようかな、とも考えていましたが、実際に進んでからは、自分に合っていたためか、考えることもなく過ごしています。

40代 女性 勤務医 一般内科 心療内科 代謝・内分泌科
他科のいいところが目について羨ましく思うこともあるが、転向を考えるまでに至らなかった。今は、長年続いているのでこれが合っているんだろうなと思っている。

60代 男性 開業医 家庭医療
もともとは内科。現在は総合診療的な仕事をしていますが、転科したという意識はなく、内科以外の領域も少しずつ勉強して増やしていったという感じです。


転向を考えたことはあるが、実行していない

60代 男性 勤務医 麻酔科
麻酔科です。同期の外科連中がどんどんスキルアップ(アッペから胆嚢摘出・胃切除)するのに比べ自分は挿管・硬膜外挿入くらい・・・焦りを感じ転向を考えたが・・・・40年経った今、同期の連中は早々と開業・産業医・ドック医師へと転向しているのを見ると麻酔科で良かったのかな。体力的(手の震え・視力低下)にも麻酔科だと大丈夫だし。

40代 男性 勤務医 泌尿器科 腎臓内科・透析
一部やりたくないことがあって修練医の時に転科しても結局、違うストレスがかかるので一長一短と思いふみとどまった。その後転勤を繰り返し様々な経験を積んでいくうちに他の科に携わることも増えて、やっぱり今の科でよかったと、今なら思える。

60代 男性 勤務医 泌尿器科 腎臓内科・透析
いまの科も、学生時代から運動クラブの先輩に誘われた科で、他の科も自分で探していた。結局先輩に従った。医師になり、他科に触れ合う場で、後悔しきり。でも、今からでは遅すぎるので、専門の科に特化しないで他分野も勉強して携わっています。

50代 男性 勤務医 一般内科 漢方医学 総合診療 小児科 整形外科・スポーツ医学
内科で専門医、学位を取りそびれたので、一時は精神科転科で精神保健指定医を取得したいと漠然と考えておりましたが、自分には荷が重いと考えてプライマリーケアをそのまま続けています。

50代 男性 勤務医 耳鼻咽喉科
研修医時代に元々の診療科の診療内容に不満があったというよりかは、人間関係が原因で他科への転向を考えたことがあります。結局はその病院を辞めることになり転科はしませんでした。

40代 男性 勤務医 小児科 一般内科 アレルギー科 精神科 心療内科
自分が若いころに少しだけ転科は考えました。しかし他に強く希望して進みたい診療科があるわけではなく、自分ならどの科でもうまく生きていけないだろうなとも思い、やめました。


転向を考えたことがあり、実行した

30代 男性 勤務医 その他 一般外科
診療科そのものが嫌、ということは意外と少ないと思います。大抵は医局の人間関係や家庭の事情ではないかと。私は両方の事情で外科から行政へ移りました。
医師の資格は皆様ご存知の通り、変に拘らなければ食い繋いでいく分には非常に幅広い求人があります。転々とするので無ければ、悶々とするよりは動かれるのも手かと思います。

50代 男性 勤務医 神経内科 一般内科 リハビリテーション科
もともと神経内科医ですが、難病の患者さんに何もわからないままリハビリを勧めることに疑問を感じるようになりました。母校はリハビリ教育が盛んではないため、縁もゆかりもない大学のリハビリ科に入局し、大学で一から勉強しました。今は神経とリハビリを両面からみることができるようになり、がんばってよかったと思っています。

50代 男性 勤務医 精神科 一般内科
精神科医ですが、単科精神病院内は身体疾患について所謂「無医村」というような状態または非常に能力の低い身体科の医者しかいないので自分自身で内科を診察するために短期間、内科医として研修しました。そのまま内科医になっても良かったのですが、心身の負担とコスパの悪さから精神科医に戻っています。

40代 男性 勤務医 脳神経外科 漢方医学 リハビリテーション科
脳外科後期研修まで修了し専門医受験資格もあったが、周りの先輩を見て、いつまで手術をせねばならないのか、その対価、結局はリハビリが大部分と知り、リハ科に転科し専門医となった。最初からリハ科に入局した先生よりは役に立つと思う。

50代 男性 勤務医 総合診療 循環器内科 一般内科
学生時代に決めた脳神経外科への入局をするにはしたが、初期研修段階で、悲惨な行く末となる、脳外科手術患者の多さと、心血管カテーテル治療における死から生への復活場面にどハマり、循環器内科医へと転向しました。

60代 男性 開業医 一般内科 形成外科 整形外科・スポーツ医学 皮膚科
もともとの科では食べていけないので転科しました。生きていかなくてはいけませんので仕方がありません。しかし、転科して大正解です。理想だけではごはんが食べれません。


その他

40代 男性 開業医 一般外科 消化器外科 消化器内科 一般内科 整形外科・スポーツ医学
転向していないが、実家の病院継承した時点で様々な診療科を診ている。結局、転向しないでも意欲があれば他科でも診療しても良いと思います。

60代 男性 勤務医 神経内科 リハビリテーション科
合わない職場は変えましたが。変更とは違いますがリハビリテーション科は後で専門医を取って、併用しています。

20代以下 男性 勤務医 小児科
まだ初期研修中ですがしんどくて早くローテーションが終わって欲しいと思ったことは何度もあります。

多くの医師が診療科の転向を考えたことがあるものの、実際に転向を決断したのは一部に限られることが明らかになりました。
医療という大きなフィールドの中で、最初に選んだ道を歩み続けるか、新たな道を切り開くかは、どちらも簡単な決断ではありません。
どの選択をするにしても、医師としてのキャリアを常に進化させ、将来悔いのない医師人生を歩んでいただきたいものです。

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