世代別に検証!医師の所属学会数とその訳を調査してみた
学会は、新しい医学知識習得のために重要な場です。
また、医師が所属する学会やその数は、医師の専門性やキャリアの築き方、さらには医学界での役割に対する窓口となります。
そこで、MedPeerの医師会員に学会加入への意識について調べてみました。
学会に加入している医師は94.2%
何らかの学会に加入していると回答した医師が9割以上という結果に。詳しく見てみると、学会加入数や目的が年代によって大きく異なることが明らかに。世代別の結果をご紹介します!
年代別所属学会数
年代別に見ても、「1-3」との回答が各世代でトップとなりました。20代では、「加入していない」という回答も目立っていましたが、30代になるとその割合はガクッと下がり、代わりに「4-6」という回答が大幅に増える結果に。
その傾向は60代まで続き、70代以上になると再び「加入していない」の割合が増えています。
年代別に詳しくコメントを見ていきましょう。
20代以下|研修医で加入できないという意見もあり、加入割合は少なめ
20代以下の医師は「1-3」と回答した割合が約6割、「加入していない」も全世代で最多となり、約3割となっています。最低限の学会加入だけでよいと考える堅実派が多い印象。
「加入していない」という意見は、研修医なので加入できないという実態も。
「1-3」20代以下 男性 勤務医 腎臓内科・透析 一般内科
まだ専攻医1年目であり、最低限の学会のみ加入
「加入していない」20代以下 女性 勤務医 産婦人科
まだ研修医なのでどこにも所属していない
「1-3」20代以下 男性 勤務医 消化器内科
専門医取得に必要な分だけ所属している。
「10以上」20代以下 女性 勤務医 その他
学会は入れば入るほどよい
30代|専門的な知識を磨くために学会を選択!
30代になると、「加入していない」が大幅に減少。「1-3」と「4-6」との回答が合わせて約90%に。この年代の医師は自分のキャリアパスがある程度定まり、専門的な知識を深めるため、自身の専門領域に関連のある学会への加入を積極的に選択していることがうかがえます。
「1-3」30代 女性 勤務医 精神科
メインの学会と発表で入会が必要だったもの程度の学会と少しです。今後サブスペシャリティとして入る学会があるかもしれませんが、たくさんは入りません。
「7-9」30代 男性 勤務医 小児科
小児血液腫瘍をベースに診療に関わる感染症や救急、緩和ケア、成人領域の腫瘍関連も入っているため。
「1-3」30代 男性 勤務医 小児科
興味のある分野、関連する分野はもう少しあるが、まずは3つ。今後必要に応じて、5前後にはなるかもしれない。
40代|20近い学会に参加しているという意見もある一方、所属学会を絞っている声も
40代の医師の中では、「4-6学会」に所属していると回答した人がさらに増え、全世代の中で唯一3割を超えました。学会が多くなると、参加するのが大変になり、オンライン配信に助けられているという意見も。
「1-3」40代 女性 勤務医 一般内科 健診・予防医学
診療に役立つ学会への入会も検討中です。全ての総会に参加するのは難しいですが、オンライン配信に救われています。
「4-6」40代 女性 勤務医 呼吸器内科 一般内科
多い時には10くらい入っていたような・・。職場変更にともない「いらないや」と捨てた学会の専門医がちょっと惜しかった(もう論文も作れるような環境じゃないので新しくは取得できない)というトラウマがあって、切ろうと思っても切れないのが1つ残っている。今ある武器で戦える戦い方(転職とか)をすればよい、と思う中高年です。
「4-6」40代 男性 勤務医 腫瘍内科
領域基礎及びサブスペシャリティー領域の資格取得したものに厳選
今後取捨選択を考えている
「10以上」40代 男性 勤務医 消化器外科
現在20近い学会に所属しています。
学会認定資格の取得や総会時への演題登録なども可能な限り行っています。好きでやっているので、特に不満もありません。
50代|多数の学会参加がピークに!?
40代と比較しても大きく割合は変わりませんが、「7-9」「10以上」と答えた方が一番多くなるなど、50代は多くの学会に所属する傾向にあるようです。一度、学会をすべてやめたという過激(?)な意見も。
「1-3」50代 男性 勤務医 一般内科 呼吸器内科
一度、全部やめて取得した専門医・指導医をすべて止めた。そのあと本当に必要になるものだけ戻った。委員会などもなくなり、却って気楽に参加できるようになった。
「4-6」50代 男性 勤務医 アレルギー科 小児科
日本小児科学会、日本アレルギー学会、日本小児アレルギー学会、日本小児呼吸器学会、日本小児感染症学会に入っています。以前は日本小児循環器学会、日本川崎病学会、日本新生児学会にも所属していました。
「7-9」50代 男性 勤務医 一般外科 消化器外科
スペシャリティ、サブスペシャリティの学会の他、論文投稿や論文の共著者になるために所属している学会もあります。定年を目安に、退会して減らしたいと考えています。
「10以上」50代 男性 勤務医 神経内科
専門領域の学会はもちろんですが、各科の先生が所属するような学会は楽しいですね。
「10以上」50代 男性 勤務医 消化器内科 一般内科 産業医 老年内科 健診・予防医学
専門医や認定医を多く取得してしまったのでその維持のため継続してます
60代|定年を見越して学会の断捨離を始める
30~50代までと比較すると、「加入していない」の割合が増加。60代は定年を迎える時期であり、多くの医師が学会の断捨離を始めているようです。
「1-3」60代 男性 勤務医 麻酔科
麻酔科医です。麻酔科学会、臨床麻酔学会、救急医学会に所属しています。麻酔のサブである集中治療、ペイン、小児麻酔、心臓麻酔などには所属していません。救急医学会には麻酔科医になった当初から所属していますが専門医ではなく、ICLSコースのディレクターをしています。
「4-6」60代 男性 開業医 一般内科 泌尿器科
昔はもっと所属していましたが、開業すると学術集会に行くことが難しく(平日が多い)、いってもトレンドに追いつくことにつらさを感じるようになり、断捨離中です。学術雑誌も必要なオンラインで得られるようになったのでほとんど止めました。
「7-9」60代 男性 勤務医 神経内科 一般内科 感染症科 臨床検査科 総合診療
もう65歳で定年なので、代議員などはやめましたが、専門医の維持のために学会に入っているものもあります。リハ学会などは、終身の専門医ですが、学会員でなくてはならないので、続けています。
70代以上|すべての学会を退会する方も多く
70代以上になると「加入していない」との回答がさらに増加。定年に伴い、多くの医師が所属学会を退会するという選択を取っているようです。
「加入していない」70代以上 男性 勤務医 一般内科 一般外科
外科系学会5学会に加入していましたが、定年して療養型病院に転職。手術症例もなくなり、専門医を更新できないので全て退会しました。
「1-3」70代以上 男性 勤務医 一般内科 代謝・内分泌科
サブスペ専門医の維持のため二つだけ加入してますが、高齢になり専門医維持も不要になりそうなので、数年以内に全て退会のつもりです。
「4-6」70代以上 男性 勤務医 循環器内科
以前は10学会以上所属していましたが定年退職して再雇用で働くようになって学会発表する機会もなくなったのを機に7学会は退会しました。今は専門医資格のある4学会のみです。
「7-9」70代以上 男性 勤務医 一般内科 在宅医療 老年内科
大学の医局にいた間に、臨床、研究に関連した学会に入って、以来数十年、今日に到っています。
退会時期を考えている状態です。
年代によって、学会への考え方も様々。
日本の医療の進歩はこうした医師の研鑽によって成り立っているんですね。
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