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【医師調査】医療機関での外来の待ち時間、対策は?

病院やクリニックでの外来の待ち時間は、患者さんの満足度や医療機関の評価に直結する重要な要素です。
最近では、Web予約システムを導入し待ち時間の短縮を図っている医療機関も多いようです。
実際に、厚生労働省の「令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況」によると、外来で受診する方の約8割(77.8%)が予約をして受診するという結果に。
しかしながら、同調査で外来における待ち時間を見てみると、微増傾向となっています。

厚生労働省「令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況」より

こうした”外来での待ち時間”について医師はどのように考えているのでしょうか?

医師専用コミュニティサイト「MedPeer」で、外来の待ち時間で対策が必要となるのはどれぐらいかを調査しました。

6割以上の医師が、外来の待ち時間「30分以上」で対策が必要と回答

調査日:2023年11月18日

「30分以上」の待ち時間に対しては対策が必要とされる意見が最も多い結果となりましたが、「5分未満でも必要」とする声も上がっています。
具体的な医師のコメントをご紹介します。

「30分以上」

50代 男性 勤務医 呼吸器内科
1時間は待たせないよう努力します。
最近感じる問題ですが、予約時間に遅れてくる患者についてどう対処したら良いのでしょうか。9時の予約患者が9時半に来ると、9時半予約の患者の時間を奪ってしまいます。かといって予約優先で診療をしたら、9時の予約に遅れてきた患者を診療する時間は夕方になってしまいます。それは現実的ではないので、結局全員の予約時間が後ろにずれて皆不満を持っていく状況です。

50代 男性 勤務医 放射線科 一般内科 緩和医療 その他
まず事務、看護師などから遅れる旨を伝えてもらっています。その後時間の隙間など見て待たせてしまっている方に、もう少しで診察しますね、など直接お声がけしています。それでも起こってしまうご家族はいますが、何もしないよりは後々がスムーズになるので、そのまた次の方などをお待たせする時間が短くなっている気がします。

60代 男性 勤務医 消化器内科
15分以上の待ちになると患者からのクレームが始まりますが、30分が、恐らく患者さんの待ち時間の我慢の限界では無いかと自分では感じています。30分待たせるときには、何らかの対応が必要となります。実際には、医者にクレームをつけられることはほとんどないように思いますが、コメディカルのためにも必要です。

50代 女性 開業医 皮膚科
当院、近隣の同業者が廃業するなどあり、日によっては1時間以上お待たせすることもあり、改善策としていったん家に帰っていただくなど工夫はしていますが、なかなか難しいところです。時間は難しいですが、開業医の場合は、30分以上待つとクレームが来るようです。まじめに一生懸命やってるんですけどね・・。

50代 男性 勤務医 精神科
私も30分以上のお待たせは申し訳ないと感じます。
当方の場合、精神科ですが、予約枠は30分単位で(例、10:00~、10:30~、11:00~、…)、その30分の枠内では早いモノ勝ちというシステムなので、30分以内の待ちに関してはそんなに申し訳なくは思いません。


「15分以上」

40代 男性 開業医 消化器内科
勤務医の時には検査も多く待ち時間はやむを得ないと思って対応してました。総合病院勤務だったので救急症例や入院急変などあるとお待たせする事はありましたが、大きな病院のため患者さんも「ある程度は待つもの」として対応してくれたいたので助かります。
開業になってからはなるべく待たせないようにしていますが検査ではなく話が長い方がいると滞ります。検査も色々できるクリニックのため1人当たりの時間がかかる場合もありますが、予約枠複数枠にするなどはシステム上できないので困っています。
15分としたのは15分が積み重なると次の次の人にも影響出るため、やや短めに設定しました。

50代 男性 勤務医 一般内科 呼吸器内科
自身の受診で私は30分は当たり前で待てますが、10分なら想定の範囲内でまったくon timeという感覚です。15分までは待ってもらえるように考えてほしいですね。飛行機だって15分程度の遅延は日常茶飯事です。鉄道がすごすぎるんです。海外でもこんな正確な鉄道はありえません。当たり前になっていることに我々日本人はもっと感謝しなければなりません。

50代 女性 開業医 皮膚科
うちは順番予約制ですが、1番の診察を始めるころには20番以降の患者さんが来られることがあります。何度説明しても無理なので、順番が近くなるとお電話でお呼びしますが、呼んだ後15分以上で文句を言われます。
(もともと理解に問題があるのかもしれませんが)


「10分以上」

30代 男性 勤務医 小児科 代謝・内分泌科 救急医療科 産婦人科 総合診療
「対策」というのが具体的にどういったものかは分かりませんが、自分なら、10分~15分の遅れが有る場合は、患者さんに一言、伝えるのが好ましいと思います。ただ、「患者さんの状態によって診察時間が前後する事は有ります」と診察室入口に掲示しているために、それで代用し、結果、患者さんに言付けなく30分程お待たせする事も多々あります。

50代 男性 勤務医 一般外科 消化器外科
受付順の場合は受診側もある程度は待てると思いますが、予約制の場合はクレームも増えます。待ち時間の目安が表示できればベストですが、10分以上遅れそうな場合はスタッフが一声かけるだけでも違うと思います。

50代 女性 勤務医 精神科
外来担当日は予約でなく来院順の診察なので待ち時間はまちまち、1時間以上のこともあります。外来担当日以外に予約で診察する時は、急な病棟対応等で10分以上お待たせする場合、遅れることをお伝えします。

40代 男性 勤務医 感染症科 小児科
私も個人的には待てて30分ですが、組織として対策を検討したほうがよいのは、もう少しはやいタイミングからでしょう。

60代 男性 勤務医 一般内科 神経内科
10分までは許容範囲とは思いますが、入室してきた時に必ずお待たせして申し訳ありませんと申し上げています。


「5分以上」

40代 男性 開業医 一般内科 一般外科 在宅医療 神経内科
個人的には待てるのはそのくらい。ただ、スタッフの対応能力から考えると、15分以上待たせても気にならないのでしょうし、対策するにしても対応できるスタッフがいないのでは、対策のしようもない、と思います。

70代以上 男性 開業医 小児科 産婦人科 一般内科
患者さんの性格にもよりますが、お待たせする場合は最低限待ち時間がどのくらいか、お待たせしている理由などをお伝えしないといけないと思います。待ち時間5分でも帰ってしまう患者さんもいらっしゃいます。

40代 男性 勤務医 麻酔科 整形外科・スポーツ医学 リハビリテーション科 一般内科 リウマチ科
5分以上待たせる場合は対策が必要です。待ち時間が長くなると患者さんの不安や不満が増えることがありますから、できる限り待たせないようにすることが大切ですね。

40代 男性 勤務医 老年内科
日本人は時間に厳しく、短い時間でも待てないことが珍しくないから。予想待ち時間の表示は欲しいと思う。


「5分未満でも必要」

30代 男性 勤務医 精神科 心療内科 在宅医療 美容・アンチエイジング
一般的な企業や商売においては原則として遅滞は許されないかと思われます。まして、救急や病棟管理ならまだしも緊急性の無い一般的な外来、それも完全予約制であればなおさらです。
予約制ではなく受付の早い者勝ちならばまだしもですが、きちんと予約をとったうえで、病院や医師側に予約時間を反故にされようものならば、患者家族側としては予約自体馬鹿馬鹿しいと思うことになりかねません。
そういう事象が「外来で待っててもらちが明かない」と思わざるを得なくなるゆえに、「早いから、待たなくていいから」というしょうもない理由で救急要請を乱用する要因になっていると推測します。
故にそもそも待たせること自体御法度と考えた方が良いでしょう。

50代 女性 勤務医 一般内科
予約時間からどれくらい経過したかではなく、来院時間からどれくらい経過したかで、待ち時間を体感されているので、例え5分未満でも何かしらの対策が必要と実感している。

50代 男性 勤務医 一般内科 代謝・内分泌科
例え1分でも必要。声がけ程度で良いから。今の日本では医療はもはやサービス業。そういう時代。他の業種でもだめなんだから、医師だけが免れる時代ではないだろう。

50代 女性 開業医 一般内科 代謝・内分泌科 産業医
物理的な時間というより、何故待たせているのか、待ち時間の目処などを誠意を持って説明することが必要です。時間を聞いている段階で考え方としてアウトでしょう。

50代 男性 勤務医 放射線科 放射線腫瘍科
予約客において、待たせるという発想自体間違いだと思うし、1分でも過ぎればその説明や対応は必要です。医療に関わらず当たり前のことです。


待ち時間の許容範囲は医療機関の特性や患者さんの状況によって異なるため、一概にはいえませんが、待ち時間の短縮と適切な対応を医師は常に心がけています。
また、待ち時間が長くなりそうであれば、その旨を患者さんに伝えるという対策を取っている医師が多いようです。
医師の適切な対応が患者さんの不満を減らし、医療機関全体のサービス向上につながっているようです。

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