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処方薬をオンラインで購入自宅で受け取りが可能に!医師の見解を調査

Amazonは2024年7月より全国約2,500の薬局・ドラッグストアと連携し、オンライン服薬指導から処方薬の配送までを行うする新サービス「Amazonファーマシー」を開始※1しました。
電子処方せん※2を用いることで、処方せんの受け取りから提出、服薬指導をすべてオンラインで完結でき、処方薬の受け取りを自宅、薬局の店舗を選択できるようになるため、患者さんの利便性が高まります。
こうした取り組みに対して医師たちはどのように捉えているのでしょうか?

医師専用コミュニティサイト「MedPeer」にて「Amazonファーマシーの取り組みについてどう思うか」という質問が投げかけられました。

※1 参考:アマゾン処方薬ネット販売 全国薬局2500店と連携 利便向上、中小零細淘汰も
※2 これまで紙で発行していた処方せんを電子化したもの

約40%が賛成、反対は約26%

「賛成」または「どちらかというと賛成」と約40%の医師が回答。特に配送能力や利便性を評価する声が多くありました。
一方で、反対意見は3割以下となり、問題が生じた場合に対する懸念が寄せられました。
それぞれの回答に対する医師の見解をご紹介します。

賛成/どちらかというと賛成

60代 男性 勤務医 一般外科 消化器外科 呼吸器外科 腫瘍外科 乳腺・内分泌外科
配送能力の高さから賛成。山間部、離島などは必要とされる。人口あたりの医療機関でデータを出す厚労省の役人に対抗するには、面積当たりでの必要医療機関数で対抗か?でも収益は問題になるが。。。リモート医療の進化と遠隔地の居住者を救ってくれることを希望

50代 男性 開業医 形成外科
もはや保険診療は後戻りのできない状況で崩壊に向かっていると思います。アメリカの大企業が崩壊を後押しし、早め、システムが醸成されていけば、良くも悪くも保険医療制度が変革するか別の制度に代わるか、恐れつつも楽しみです。

60代 男性 勤務医 呼吸器内科
運用次第だとは思いますが,少なくとも薬剤をとりに行くことが困難な状況では役立つと思います。また国民の自己責任の意識を高めるきっかけになればと考えます。

30代 女性 勤務医 神経内科
それなりに理解力の高い方、安定して同じ薬を飲み続けている方には便利だと思いますし賛成です。一方で理解力の低い人、新しく処方を受ける人、複数医療機関にかかっている人などは今まで通り調剤薬局を利用してほしいと思います。

60代 女性 勤務医 一般内科
最近、「在庫がないから」、と処方箋薬局から電話がかかってくるので、改善できるのであれば、助かります。自分的には、処方箋薬局の閉店までに取りに行けず、困ったことがあり、配送してもらえるのなら助かります。

50代 男性 勤務医 産婦人科
処方箋薬局の利用時間が限られているので、Amazonなどで処方箋を利用できるのは利便性が上がると思う。現存の大手薬局もAmazonと同様のサービスを行えばよいし、もっと前からやっておくべきであった。

50代 男性 勤務医 耳鼻咽喉科
オンラインで服薬指導ができるのであれば良いのではないかと思います。対面での服薬指導でなければ何かの支障が生じるような方はそもそもAmazonでのサービスを利用することは少ないのではないでしょうか。


どちらでもない

40代 女性 勤務医 神経内科
薬剤師と対面することで初めて飲み合わせが分かったり(診察にはお薬手帳を持ってこないなどで)、副作用について説明したり副作用が出ていないか質問したりといった、チェック機構が働いていると思うので従来の診療では面倒でも薬局に行って欲しいと思う。しかし、通院が難しく訪問薬剤指導が入っていたり、オンライン診療で出すようなものに関してはそういうのもありかなと思う。

60代 女性 勤務医 消化器内科
チェーン店などでの服薬指導は、そもそも、形骸化しているように思う。店頭で、他の方もいるところで詳しく薬の説明をされるよりは、オンラインを利用したほうが個人情報(服薬内容から病名が推測されるなど)は守られやすいとも思う。
しかし、オンライン診療、オンライン処方などが普及していくと、医師の仕事の醍醐味がどんどんなくなっていくような気がします。

40代 男性 勤務医 一般内科 循環器内科 その他 産業医
医者でもない相手に根掘り葉掘り症状などを聞かれると不平不満を根強く抱いている患者も数多く居ますし、利便性の面からは良いとは思いますが、安全性などが担保されにくいので、何とも言いにくいです。

50代 男性 勤務医 一般内科
理解力の低い患者に懇切丁寧に服薬指導している姿を、調剤薬局で時々見かける。オンラインでこれができるとは思わないが、そもそもそういう患者はオンラインを使わないだろうから大丈夫かもしれない。

50代 男性 勤務医 小児科
風邪などの薬では利便性が勝るとは思うが、きちんと薬の説明をして欲しい時には心もとない。継続的な治療が必要となる疾患については薬剤師からの説明があって欲しいとも思うから。


反対/どちらかというと反対

70代以上 男性 勤務医 消化器内科 血液内科 腫瘍内科
お薬手帳による重複処方をチェックできないのでは? もっとも医薬分業を推進して院外薬局での指導料等の患者支払いの増大、国家財政への圧迫要因ともなっている。現行の医薬分業の院外薬局でも他院からの重複処方をチェックしないので、ほとんど機能していないのだが。

60代 男性 勤務医 呼吸器外科 一般外科 緩和医療 産業医
高齢者の習慣的な通院は効率的になるが、視診以外の打・聴診や触診といった診察の原点が失われ、医療提供が商売になっていく懸念がある。アマゾンなど医療法人以外の経営母体により、医療は次第に算術化される。

40代 女性 勤務医 一般内科 健診・予防医学
副作用などの周知徹底が不十分であることも多く、何かあっても結局近くの医療施設に丸投げするケースもあると聞いています。
オンラインでの導入自体慎重であるべきと考えます。

50代 男性 勤務医 リウマチ科 一般内科 膠原病科
問題が生じた時に、処方した医師や薬剤師等の手間がかえって増える可能性はどうなのでしょうか。またかかりつけ薬局の概念を覆してしまいかねないのではと思います。


患者さんの利便性が高くなるという一方で、医療の質と利便性をどのように両立させるかが、今後の医療改革において重要な課題となるでしょう。

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