医師の論文読み書きは業務時間外?生成AIの利用意向も
医師の働き方改革スタートに伴い、業務効率化の必要性が高まっています。
医師の業務は、診療から研究まで多岐にわたり、論文の読み書きは医師の重要な業務の一つです。
医師が論文の読み書きや検索に関連してどのような業務を行っているか、さらに生成AIの活用に関して意見を探ります。
論文を読み書きする時間は業務外?業務内?
医師の専門分野や勤務形態、個人の作業スタイルによって異なりますが、業務時間外に論文の読み書きをしている医師が多い模様。「新しい診断基準の研究や過去の症例の検討は、診断業務の重要な一部であり、業務時間に含まれるべき」という意見も。
業務時間外が多い
外来にゆとりがあるときは、隙間にちょこちょこと作業をすることが多いです。
業務時間外のまとまった時間に集中が必要な作業をして(たとえば日本語で論文の骨子を作るなど)、日中のスキマ時間に細切れ作業(たとえば日本語を英語に翻訳するなど)をしています。
英語で直に論文書く力がないので、作業時間によってむしろ分業することが可能です。
(40代 男性 勤務医 放射線腫瘍科)
業務時間内・外半々程度
病理診断の場合は新しい診断基準や過去の症例を検討することも大切な業務であり,それらも診断業務の一部であると考えています。また若手医師の論文作成や指導も仕事であるので業務時間に含まれると思います。もっとも大学では時間外手当という概念が無かったので,それも給料に「コミコミ」みたいなものでしたけど・・・
(50代 男性 勤務医 病理)
年間に何本くらい論文を読む?
「3本以下」と回答した医師が約45%、次いで「論文は読まない」と回答した医師が約18%という結果に。「読まない」と回答した医師も、医療系サイトでのまとめを利用するなどの方法で最新の情報は常に収集。
各医師ともに自身の専門性を維持し、最新の医療知識を更新しています。
21本以上
ここ数年、読む論文は、新型コロナウイルス関連の論文ばかりでした。最初は査読前の流れて来た論文にも目を通していたのですが、自分の考えが白黒ハッキリつかない結果ばかりになったので査読論文だけ読んでいます。
(50代 男性 勤務医 救急医療科 麻酔科 集中治療科 一般外科 一般内科)
7-10本
論文は必要時に検索して読むのであって、定期的に読むような事はしてませんが。あとは海外学会から送られてくるタイトル一覧にざっと目を通して、気になるものをさっと見るくらい。
(40代 男性 勤務医 放射線科)
4-6本
といっても、医療系サイトでまとめられているものを流し読みする程度です。それでもなんとなく新しい情報は入ってきているように思います。
(40代 女性 勤務医 循環器内科 一般内科)
論文は医師自らが探す!論文検索の実態
約7割の医師が「自分で入手する」と回答。
自分で、専門のWEBサイトからダウンロードする、病院の図書室に依頼する、MRに頼るなど、それぞれの医師が状況に応じて最適な方法を選んでいます。
このうちMRに依頼する方法は減少傾向にあるよう。
自身で入手する
Journal siteでfree でdownloadするか、病院で契約しているJournalなら病院でdownloadするか、病院の図書室に手配を依頼するか、どうしてもすぐに欲しいときはSci-hubでdownloadしています。MRに昔は依頼していましたが、最近は、それに関連していろいろ病院の情報や自分の興味を探られるのが面倒で、あまり依頼していません。
(50代 男性 勤務医 一般内科 血液内科 腫瘍内科)
自身で入手する
自分で購入しています。以前は医局にサービスがあったんですが、そうしなくても個別購入できるようになったので、サービス自体がなくなったようです。
MRに頼むこともありますが、めったにないです。
(50代 女性 勤務医 整形外科・スポーツ医学 リハビリテーション科 産業医)
MRに依頼する
今までは、自分で検索して、欲しい文献をリストアップしMRさんにお願いしていた。今後はMRさんにお願いできなくなっていくと思われ自分で手に入れることになると思う。
(50代 男性 勤務医 整形外科・スポーツ医学)
論文作成など、業務で生成AIを使いたい?使いたくない?
「利用したいがまだ利用していない」「利用した」と、生成AIについてポジティブな意見を持っている医師が約6割に。
AIの活用は、文書作成やデータ処理などの業務の効率化に期待を寄せつつも、思考過程が不明瞭な点や人間的な感覚を欠くことに対する懸念もあり、論文作成などはまだ遠い道のりのよう。
生成AIの技術が進化し、より医療分野に適した形での活用が必要とされています。
利用したいがまだ利用していない
ネットに繋がなきゃいけないのでしばらく電子カルテでは使えないのが残念。正直、紹介状を書いて欲しい。ただ、かなり冗長に書いてくるだろうから、読み手としてはイライラするかもしれない。ハルシネーションは最後まで問題になるだろうし。なお、サマリーは自分で書きたい派です。最近、救急当番中の死亡(入院扱いになる)はクラークが書いてくれるようになったのですが、サマリをまとめるのが自分にとって「喪の作業」になってたんだなあと感じました。自分で書かないとなんだか引き摺ってしまってうまくいきません。
(40代 女性 勤務医 一般内科 リハビリテーション科)
利用したいがまだ利用していない
生成AIによる読影レポート作成は最も期待される分野です。人間の作成するレポートの根本的課題として表現のバラつきがあり、同じ所見を見ても読影医師の気分、自信によって微妙に表現が変わり、それがレポートを受け取る側にも影響を及ぼし、患者の転帰まで変わる事があります。実現まではハードルが高いですが。今すぐ使って欲しいのは、業務割り振りです。
(40代 男性 勤務医 放射線科)
利用したくない
思考過程の不明な文章、特に紹介状は気持ち悪くて読めたものじゃありませんよ?まぁ今までは人間が書いてるのでしょうが、患者さんの病態を理解しないで書いてるのはみえみえでわかりますよね!研修病院からの紹介状に多いですが…AIでも怖くて任せられません!
(50代 男性 勤務医 一般内科 感染症科 神経内科 精神科)
利用した
サマリー作成・入力。検査オーダー時のコメント入力。定型的な文書作成。
データ処理するときの定型コマンドの作成。
レセプト返戻に対する対応。
ほかにもいっぱいやってもらいたいことがあります。
(50代 男性 勤務医 耳鼻咽喉科)
利用した
メールの文面作成、院内への周知文書作成、院内会議のアジェンダ作成、議事録要約の作成などに活用しています。ほとんど自分の秘書です。今後、看護部の勤務表作成に使えないか検討する予定です。
(50代 男性 勤務医 老年内科 血液内科 一般内科)
医師の多くが業務時間外に論文を読み書きしており、読む論文数も医師によって差があることがわかりました。
医療分野における生成AIのさらなる進化と適切な活用法こそが、医師の論文業務に大きな影響を与えるかもしれません。
医師専用コミュニティサイト「MedPeer」への登録はこちら
マガジンをフォローいただくと、医師17万人への調査データをお届けします!
MedPeer Style動画配信中!
#メドピア #MedPeer #ヘルステック #医療DX #企業のnote #survey #調査データ #アンケート #ドクターズボイス #医師の働き方改革 #業務効率化 #論文 #時間外労働 #生成AI