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ヘルスケアビジネスに関わる医師が解説「医師の起業への興味」MedPeer会員医師に調査

医師のキャリア形成が多様化する中で、様々な働き方を意識する医師が増えてきたように思います。しかしながら周囲で起業する医師はほとんどいません。一方で、様々な勉強会やイベントに参加していると、興味関心はひしひしと感じています。

いまや医学生の中で起業している人や、インターンに参加する人もいて、様々な事業に触れる機会が増えてきているようです。このように医師の起業というテーマへの潜在的なニーズはかなりあるのではないでしょうか。

そこで、普段、様々なヘルスケア企業と協業し、ヘルスケアビジネスに取り組むDr.心拍が、調査結果をもとに解説していきます。


医師2,500名にアンケート実施

2024年2月25日に2,500名のMedPeerの医師会員を対象に「将来起業することに興味があるか」についての調査が実施されました。

結果は、「興味がない」が48.4%と最多で、「どちらかといえば興味がある」が22.2%、「どちらかといえば興味がない」が17.1%となりました。
普段病院で働いていると、周囲で起業しているあるいは起業を考えているという人は聞くことはないので、妥当な結果だと言えます。一方で興味がある層が3割程度(32:4%:「興味がある」「どちらかといえば興味がある」合算)いることも興味深いです。
私が医師になった頃は、開業という選択肢はあっても、それ以外の起業という選択肢はそもそもなかったように思え、少しずつ価値観の変化が起こっていることを感じます。

そうした価値観の変化により、年代別ではどういった違いがあるのでしょうか。

年代別にみてみると、20代~40代は起業に興味がある医師の割合が高く、特に、20~30代では約半数が興味があるという結果が見られました。

医師としてある程度の経験を積んだ30代、40代になってくると、医師としての経験、能力にも天井が見えてしまうことで、今後のキャリアが見えて不安を感じてしまうことも一因となっていそうです。さらに、新しいチャレンジをしてみたいという好奇心、また医師として経験した課題をビジネスとして解決したいという点で起業という選択肢もでてくるのではないかと思います。

「興味がある」「どちらかといえば興味がある」意見まとめ

・医療だけでは先細りすると思うから、他のことにチャレンジしたい
30代 女性 勤務医

・不動産賃貸業で開業することを目指して準備している。
30代 男性 勤務医

・クリニックの開業は結局のところ個人商店のレベルにとどまるため、社会にインパクトを与えるという観点からは企業の方が大きな仕事ができる
50代 男性 勤務医

・病院の中で患者を待つだけではなく、より社会に出ていく形で人々の健康に貢献できる部分があると思っており、起業にも興味があります
40代 女性 勤務医

・日頃の臨床経験のなかでの知見をいかしたことで、自分の自由に動かせる会社など、起業になるかと思いますが、憧れます。
60代 男性 勤務医

医業への不安からの経済面を考慮してといった意見だけでなく、社会貢献への想いから起業への興味が伺えますね。医師は向上心がある方が多いので現状課題に対して解決したいという先生が起業されるのかと思います。
実際、医師で起業されている先生にお会いする機会がありますが、臨床で感じた課題を解決したいと思って強い熱意をもっている先生ばかりで尊敬します。

「興味がない」「どちらかといえば興味がない」意見まとめ

・医療を提供することが今はやりがいとリターンが丁度よい。
将来的に考えが変わる可能性はもちろんあると思う。
30代 男性 勤務医

・保険診療医では収入面では限界を感じて久しいですが、そうかといって、何をすれば、そもそも活力が乏しいです、ああ情けないと言いつつ、総合病院での診療で満足している自分もいます。
50代 男性 勤務医

・冒険的な起業には興味無く、平坦な道を生きていきたいと思っています。つまらない道と思われるかもしれませんが、心の平穏をできるだけ乱されない毎日が好きです。
40代 女性 勤務医

・私自身は全く興味がないというより才覚がないだけ。医師の資格を持っているから医者以外しちゃいけないということはないし、そのブランドを生かした何かをされるのは構わないと思う。
老健やいろんな施設をされている先生方も、もはや医者だからというより起業家だと思う。
50代 女性 開業医

・興味がないとまでは言えませんし、キャリアを活かして起業している人は尊敬します。ただ自分は性格上、使われる側の人間だと思います。
40代 男性 勤務医

・子供が大学を出るまでは起業できるかどうかの財政面がはっきりしないので、卒業後あわよくば、という感じですね。
50代 男性 勤務医

医師は医業に向いている、安定志向などの理由や起業って言っても何をすればいいのかわからないから興味がないというような意見が見られます。ご家族の状況などもあって新しいことにチャレンジするリスクを回避したいということもあるかと思います。
自分自身も起業に興味はあるけど現状は家族のことなどを考えるとその時ではないと考え、一方で常に触れる機会をもつことでチャンスを伺っています。

「すでに起業している」意見まとめ

・40そこそこで起業しまあ普通の勤務医の数倍の収入は維持してきている。本当にこれがしたいことだったのかいまだにわからない時もあるが、人間って先立つものが入ってくるとあまり考えない生き物だとつくづく思う。
60代 男性 勤務医

・新規起業ではなく継承ですが、それでも人材確保で大変苦労しております。
60代 男性 開業医

・出版・講演などを行う個人事務所を作っています。
60代 女性 勤務医

・コンピュータのソフトウエア制作会社を起業した。15年運営して、すでに廃業をした。
70代以上 男性 開業医

・弁護士事務所や飲食店を経営しています。
50代 男性 勤務医

医業に関わらず広い分野で起業する医師も増えてきていると思います。専業、兼業など様々な選択肢があるのだとわかります。医業との掛け合わせで考えるとアイデアも広がりそうです。

まとめ


医師の起業について、調査結果、医師のコメントをご紹介しましたがいかがだったでしょうか?

まだまだ医師の起業は少数ではあるものの、年々その興味関心は高まってきていると感じており、10年後、20年後は医師も起業するのが当たり前なんて世界があるのかもしれません。

それは言い過ぎかもしれませんが、すぐに起業ではなくても医師+ビジネスのように完全に医師をやめてビジネスに振り切る必要はなく、上手に両立していくのが個人的には良いバランスになるのではないかと考えています。複業やキャリア形成についての発信をしておりますのでご興味がある方はメッセージいただければと思います。

この記事が皆様の今後のキャリア形成の一助になればと思います。

寄稿者:Dr.心拍

プロフィール (X: @dr_shinpaku)
呼吸器内科の勤務医とライター、ヘルスケアビジネスに取り組んでいる。多様化する医師のキャリア形成とそれを実現するための「複業」に関する発信と活動を行っている。
ヘルスケアに関わる情報発信と人をつなぐことを目的としたメディア「Dr.心拍のヘルスケア最前線」を2024年9月リリース。
各種医療メディアで本業知見を生かした企画立案および連載記事の執筆、医療アプリ監修やAI画像診断アドバイザー、また、ヘルステック関連スタートアップ企業に対する事業提案などのコンサル業務を複数行う。
肺癌コミュニティ医師キャリアコミュニティを運営。
事業を一緒に考えて歩むことを活動目的としている。

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