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経験知を引き出し「型化」する──事業部のカオスに挑む新任マネージャーの軌跡

事業を成長させるうえで、組織が避けては通れない「カオス」な時期。まさにそのカオスな過程にあるfirst call事業部に切り込み、さらなる成長のために業務フローや体制の整備に邁進するメドピアグループ・株式会社Mediplatの渡辺 耕平さん。first call事業部の課題解決の軌跡と、渡辺さん自身のマネジメント職としての意志の強さの源に迫ります。


同じくfirst call事業部チームリーダーの成長ストーリーもご覧ください。

目の当たりにした「first call事業部のカオス」

──入社直後から業務改善をガシガシ進めていった話が印象的です。

セールスサイドで営業資料の改定や業務手順の可視化、案件管理の効率化を、ドクターサポートチームでいくつかの業務改善プロジェクトを進めた話ですね。入社してすぐにfirst call事業部のカオスに気づいて、まずは気づいたところに片っ端からテコ入れすることから始めました。

──first call事業部の「カオス」というのはどのような状況だったのでしょう。

事業のグロースに合わせてシステムや業務を継ぎはぎで対応せざるを得なかった結果、業務フローが複雑になったり、属人化してしまったりという問題が散見されるようになっていました。

たとえば、first callはもともと「医師が、ユーザーの医療に関する相談にオンラインで応える」サービスでしたが、あるタイミングで「産業医の先生が、企業の従業員とオンラインで面談する」サービスを中心に据える転換をしました。その結果、同じプラットフォーム上に新たに別のシステムを構築することになり、利用者にとって導線がわかりにくくなってしまいました。

ほかにも、運用ルールを明確に定めていなかったために、担当するメンバーによってご案内する内容が異なっていたこともありました。このように問題が無数にある状態で、医師のみなさまや企業様にご迷惑をおかけしてしまっていたんです。

もちろん、これまでもメンバーそれぞれがそのときにベストな判断をしていたと思うんです。そこに間違いはない。ただ、リソースが限られている状況では「重要だけど緊急じゃないこと」には手を回すことが難しい……。その結果、どんどんカオスが膨らんでいったんだと思います。

──問題が無数にあると、何から手をつければいいのか判断が難しそうです。

入社直後は事業のことも業界のことも把握しきれていなかったので、難しかったです。それでも「これは明らかに問題だな」と思えるものから短期的な施策として着手していきました。ただ、それだけだと全体への影響が小さい。だから、徐々に根本解決に向けて中長期的な施策にも取り組んでいきました。

──短期的施策から中長期的施策へ手を伸ばしていったということですか。

はい。産業医の先生を顧客企業様にご紹介するときを例に挙げると、企業様から産業医の先生を探しているという相談を受け、そこにマッチする先生を探し、決定して、企業様にサービスの提供を開始するというフローなのですが、そこにもいくつか課題がありました。

1つは、案件受注からサービス開始までのフローが整っていなかったことです。そこで、まずは短期的な施策として、メンバーに手順を一つひとつヒアリングして洗い出して、「可視化」して「型化」していきました。そうすると新しいメンバーが入ったときにスムーズに事故なくスタートできるようになります。

次に、産業医の先生がなかなか見つからない地域がある、という課題もありました。これまではメンバーそれぞれが「がんばって探す」ことになっていたのですが、それだと根本的な解決になりません。そこで視野を広げてみることにしたんです。幸い、メドピアにはfirst call以外のサービスでも医師とのつながりがあります。そこで、産業医の先生が見つからない場合は、メドピアの会員医師に対しても、産業医の案件のお声がけをすることにしました。

ほかにも、産業医の先生がなかなか見つからないという状況は、地域の事情で一定数は起こりうる話です。なので、産業医の先生が見つかるまで顧客企業様が不安にならないよう、商談や受注前の時点でセールスチームが丁寧に案内するフローを新たに追加しました。

課題解決の引き出しは「人への関心」から

──メドピア会員医師への産業医の案件紹介や、セールスチームからの企業様へのお声がけは、渡辺さんのチームを超えての協力が必要になりますね。

そうなんですよね。課題に対するアプローチを考えるとき、私は「自分だけでできること」「自分のチーム内でできること」「別のチームや医師、顧客を巻き込んでできること」といった段階的な捉え方をします。

──周囲を巻き込んだ課題解決のアイデアは、どうやって生まれるのですか。

事業に関わる人の情報を常日頃から自分の引き出しに入れておくことで、アイデアが無理なく生まれるように思います。そもそも私には「一つの職能を極めたい」というより、「事業全体に関わりたい」という想いがあるからか、周りの人や他部門への関心が強いんですよね。

今日も出社したときに隣のマーケティング部の部長が席にいるのを見つけて、「お疲れ様です!最近どうですか!」って絡みにいって。目的をもって話しに行くわけじゃなくて、周囲に対して関心があるので、自然と気になるんです。そうやって話をしていくと、そのチームの状況や、検討中の取り組みの詳細、関連する専門知識なども教えてもらえたりする。それが蓄積されて引き出しになっています。

先人の背中を見てきたから、意思決定には迷わない

──難なく課題解決を推し進めているように見えますが、難しさは感じないのですか。

もちろん、難しいです。やるべきことは膨大にある一方、リソースは限られています。なので、優先順位づけに一番難しさを感じています。ただ、そのときよく言われる「最も重要なことにフォーカスせよ」という言葉は今のfirst callには必ずしも当てはまらないと思っています。

──それはなぜでしょうか?

first callは、法人向けサービスもあれば個人向けもあり、さらに法人向けの中にも複数の機能があります。事業を支えるメンバーも多くおり、事業フェーズとしても「1-100」の段階です。

その段階の事業だと、いろんな観点を踏まえたバランス感覚が必要だと思っています。一般的に課題解決には「重要度」と「緊急度」で優先順位をつけますが、売上などビジネス上の観点での「重要度」「緊急度」と、組織上の観点でのそれでは、優先順位は必ずしも一致しません。どちらかに振り切るのではなく、どちらの観点も踏まえて最適なバランスを取ることが重要だと考えています。実際、組織のコンディションがあまり良くなかった時期には、組織側の観点をより重視して優先順位を決めることが最適なバランスだと判断していました。

──事業にも組織にも責任あるマネジメント職の悩みですね。

でも、実は判断に迷うことはほとんどないんですよ。

──そうなのですね?

マネージャーは日々、意思決定をしますよね。上からも下からも横からも、全方面から意思決定を求められて、しかも、その場で即判断することも多いです。

そして私自身、チームマネジメントのような役割を担っていた経験はこれまでにもあるのですが、いわゆるマネジメント職に就いたのは現職が初めてでした。その中での意思決定も自分にとってはかなりチャレンジで、難しいシーンも多くありました。しかしその都度、自信はしっかり持って判断できたんです。

──その自信の源はどこからきているのでしょうか?

これまでを振り返ると、自分がお世話になったマネージャーって結構たくさんいるんですよ。10人とか15人くらいかな。ある程度の期間一緒に仕事をして、たくさん学ばせてもらった人たちです。意思決定するときの考え方やしんどさを、仕事や飲み会の場で彼ら、彼女らから直接聞いたり横で見たりするうちに、要領を得ていったんだろうなと思っています。

それに、今の上司の浅井さんは高速で意思決定ができる人で、その姿を入社当初からずっと見てきました。そういったロールモデルから、いつの間にか吸収していったんでしょうね。

──渡辺さんは、いつか、自分が意思決定をする側の立場になるときのために、みなさんを見続けてきたんですか。

たしかに、そういう意識はぼんやりと持っていました。「事業全体に関わる」「プロフェッショナルというよりジェネラリスト」というキャリアを志向しているのでマネージャーにもいつかはなるつもりでしたし、先輩方を見ながら学ぶためのアンテナは立っていたと思います。

承認欲求を超えたモチベーション

──first call事業部のカオスに切り込んだことが評価され、2022年度年間MedPeer Award(社内表彰制度)にてMVP※を受賞されました。おめでとうございます。
(※MVP …Credoをもっとも体現した人に贈られる賞)

ありがとうございます。自分の成長というより、組織が成長していっていることが認められたようで、嬉しいです。

──受賞コメントでも「自分の成長や能力発揮を中心に考えるより、組織が成長することが楽しいと思える」とおっしゃっていましたね。

そうですね。まあ、でも私自身、承認欲求は結構あった方です。やっぱり褒められたらすごく嬉しいし、おだてられたら鼻の下が伸びちゃいます(笑)。

それなのに、先日のMVPの表彰で名前を呼ばれたときには、気持ちが高ぶらなかったんですよね。広い会場に何百人も人がいて、大きなスクリーンに自分の名前が出て……。以前までの自分だったら、承認欲求がその瞬間ぶわっと満たされて、浮ついていたと思います。

なんで今こんなに冷静なんだろうって、壇上に向かうまでの短い時間で自分の気持ちを探ってみたんですけど、「ああ、もう承認欲求を満たしたいフェーズを超えることができたのかもしれない」と思ったんです。心を占めているのは、より良いサービスを作りたい、事業に貢献したい、自分が関わっているメンバーにもっと成長実感や成功体験を得てもらいたいという気持ちでした。

──では、最後に渡辺さんのチームの展望を教えてください。

さまざまな課題解決を経て、カスタマーサクセス部は着実に進化しています。とはいえ、まだまだ成長の余地は大きくあります。たとえば、今は私から「原因はここにあるのでは?」とか、「こんなアプローチもあるよね」など、各メンバーへ課題解決の支援をしていますが、そういった支援がなくとも、メンバー一人ひとりがもっと高いレベルの課題解決を自走でやっていける組織にしていきたいです。今の自分のポジションも、できる方が出てきたらどんどん任せていきたいです。

※本記事は2022年11月に取材し、別ブログで公開した記事を転載したものです。


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