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調剤報酬改定で何が起こる? 薬局に求められる多様性を問う|薬剤師・小川の調剤報酬解説コーナー

日本の医療制度において、2年に1回のペースで健康保険法に基づく診療報酬改定が行われています。これは「医科」「歯科」「調剤」と分かれており、薬局においては「調剤報酬」が最も関連深い部分となります。
調剤報酬に関する変更が行われるため、薬局のビジネスにも大きな影響が及ぶこととなります。
調剤報酬改定によって何が起こるのか、薬剤師の小川さんに聞いてみました。

■薬剤師 小川 拓哉
メドピア株式会社 プライマリケアPF事業部 薬剤師

「kakari」の企画/開発を担い、現在は営業活動を通じて薬局の支援に邁進している。行政情報を中心とした「kakariセミナー」の講師として、最新の情報の発信も担当。薬剤師としては、管理薬剤師、在宅医療、薬薬連携構築の他、エリアマネージャーや管理部門など幅広い経験を有している。また薬局における保険指導薬剤師を担うなど、薬剤師として知見を活かした活動も継続している。


「調剤報酬」とは?

診療報酬は「医科」「歯科」「調剤」で分かれており、薬局に関連するのが「調剤報酬」です。医療を受ける際に支払う費用の一部を示す価格表であり、1点につき約10円が算定されます。
これらによって定められた点数により医療費が決定し、患者の一部負担金と健康保険等で支払いがされます。病院からは診療報酬明細書、薬局からは調剤報酬明細書が発行され、実施した医療の内容や点数について記載されます。

調剤報酬改定によって求められる薬局の役割と多様性

薬局は備えている機能によってその役割の違いがあります。施設に備える機能、薬剤師のスキル、扱う医薬品の種類などによって算定される点数が変動します。
特に地域の医療機関と連携し、24時間対応する薬局が増えており、かかりつけ薬剤師制度も広がっています。かかりつけ薬剤師は特定の学習を修めた薬剤師であり、薬局機能として評価され、算定できる点数に影響を及ぼします。

これにより、患者は自身に適した薬局を選び、安心安全な医療を受けられるようになることが期待されています。

調剤報酬改定によって変化する薬剤師の役割

2019年の薬機法改正で「薬局の定義」が変わりました。 薬局という場所は調剤を行うだけの場所ではなくなったということが明記されています。
薬局は調剤と薬学的知見に基づく指導を行う場所であり、患者や地域住民の健康に関して重要な役割を担うことが求められています。

例えば、糖尿病の薬などリスクの高い薬については、服薬指導が加算されます。低血糖に陥るリスクやその対策、日常生活上のアドバイスなどが行われ、患者の健康管理に寄与します。
上記のように、処方箋調剤時のみならず、日常生活も支援することが求められています。
2022年改定からは薬機法に加え、調剤報酬(健康保険法)上でも日常への介入が評価として明記されています。

さらに加速する!調剤報酬の進化

2015年に厚生労働省から示された「患者のための薬局ビジョン」では、薬剤師の仕事の在り方について「対物から対人へ」と指針が示されていました。
これまでも議論され続けてきており、調剤報酬にもこれを反映する評価項目が設定されてきました。

2022年改定ではこの「対物業務」「対人業務」に関する構造を抜本的に変え、それぞれの行為を明確に分けた大きな改定となったのです。
対物業務による安心安全な医薬品の提供のみに留まらず、対人業務により患者が希望する医療を受けられるよう支援する介入が求められるようになりました。

今後もこの対人業務へのシフトという流れは変わらず、さらに加速すると考えられます。

薬剤師小川が2024年度改定の方向性を読み解く

2024年度は「診療報酬改定」に加え、「介護報酬改定」も同時に行われます。
薬局にとっての「介護報酬」は、在宅医療と関連深いものとなっており、医療と介護の両側面から対人業務の強化が図られるのは明らかだと考えられます。
一括りにしてしまうと「対人業務」なのですが、細かくてキーワード化すると「在宅医療」「多職種連携」「日常への介入」が2024年改定における重要な視点だと考えます。

2024年度調剤報酬改定について最新記事はこちら


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