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真摯に患者さんに向き合い、 悩む医師をソリューションで支援する

「現場の医師が力の100%を患者さんに注げる医療環境を提供したい」。そう語るのは、医師専用コミュニティサイト「MedPeer」の運営部門・集合知プラットフォーム事業部を率いるメドピア執行役員・冬木 裕人さん。「MedPeer」が提供している価値や、求める人材像について語っていただきました。


診療現場のムダを解消することは、医師の働き方改革にもつながる

メドピア 冬木さん

超高齢社会となり、医療機関を頼りにする多くの患者さん。患者さんの症状は千差万別。医師の業務は多忙を極めています。そんな中でも日進月歩で進化する治療法や医薬品など、医師は膨大な医学情報を学ばなければなりません。

一方でヘルスケア領域でのDXの進展は遅く、事務作業に膨大な時間を費やさざるを得ない現状があります。

冬木 「私たちメドピアは超高齢社会と財政問題への対応のひとつとして、医師の方々が、患者さんのことだけを考える、100%集中することができるような環境をきちんと整えることがきわめて重要だと考えています。

現在は、医師同士で情報共有が十分にできていなかったり、診療業務にICTの力を活用しきれていなかったりするがゆえに、労力のムダが発生しています。

約16万人(国内医師の約半数)の医師会員数を擁するコミュニティサービス「
MedPeer」で、それぞれの医師の悩みに寄り添ったソリューションを提供し、診療現場のムダを解消する。それがひいては医師の働き方改革や医療の質向上、さらには医療費の抑制にもつながると考えています」

“見るだけ”ではなく、気づきと議論が生まれる“文化”がある

メドピア 執行役員 インタビュー

「MedPeer」に登録できるのは医師限定。登録時は厳密な本人確認と資格確認が行われます。それも会員同士の安全感を担保し、情報交換をしやすくするための大切なしくみです。

冬木 「『MedPeer』最大の特長はUGC(User Generated Content)と呼ばれるもので、ユーザー、つまり医師会員の投稿によるコンテンツです。それを柱として、ほかに当社やクライアントである製薬企業などが生成する『企業生成コンテンツ』、特定の領域に専門知識のあるプロフェッショナルが生成するPGC(Professional Generated Content)があります」

UGCはどこにでもあるものです。しかし、「MedPeer」にはほかにはない価値がある、と冬木さんは自信たっぷりに語ります。

冬木 「確かにUGC自体はとびぬけてユニークなものではありません。しかし、医師同士が共有できるテーマでまじめな情報のやりとりがされるサイト内の文化はまちがいなく『MedPeer』の強みです。枠組みだけなら真似をすることができても、“文化”は一朝一夕にできるものではありません」

冬木さんの語る “文化”のルーツは、メドピアの創立時にさかのぼります。創業者であり代表取締役社長 CEO、かつ現役の医師である石見 陽さんが、2007年8月に医師専用コミュニティサイト「Next Doctors(現MedPeer)」を開設した際に、医師がたくさんいる学会で直接話しかけて、サービスについて説明してまわりました。

冬木 「現在の『MedPeer』につながる初期の投稿は、石見さんの熱意に賛同した医師たちによって始められ、それが会員数16万人以上の現在にいたるまで良い文化として残っているのです」

UGCのひとつ、FORUM(掲示板)では、実際の臨床、つまり診療の現場で直面することや、医師自身のキャリアに関する悩み、プライベートな悩みまでさまざまなトピックがあがります。

冬木 「シビアなものとしては、患者さんだけでなく、その家族との関わり方についての悩みもあれば、開業医の先生からの『自分の引退後、クリニックをどのようにあとの医師に引き継ぐか、同じ経験のある医師に意見を聞きたい』といったトピックもあります。機微に触れる話題なのであまり地域に知られたくない話でしょうし、ここでしか聞けない相談内容です。

一方、『自分の手の指に刺さったトゲはどう抜くのがいいんですか』のようなライトなトピックもあります。投稿された先生は、外科医の観点からの専門的な回答を期待されたのだろうと思いますが、意外に答えはふつうに『毛抜き』だったり(笑)。

どんなトピックにもまじめに回答してくださる先生方がいつもそこにいる。単に見るだけではなく気づきがもらえ、発展的な議論が生まれる“場”があることが、『MedPeer』ならではの価値です。

投稿コンテンツが、日々、真摯に患者さんに向き合い、悩んでおられる医師の支援につながっていることを実感しながら事業を推進しています」

メドピアでは「MedPeer」のサイト内での情報のやりとりを“集合知”と位置づけており、集合知こそが明日の医療を変えうるという想いを込めて、「集合知により医療を再発明する」というビジョンを掲げています。

創業当時から医師会員の登録だけでなく利用も“無料”を貫いており、収益はクライアントである製薬企業や医療機器メーカーから得ています。現在、国内医師の約半数に当たる16万人以上が登録する「MedPeer」ですが、会員数だけでない媒体価値が「MedPeer」にはあると冬木さんは語ります。

冬木 「クライアントにとっての媒体利用価値はシンプルに“出稿した広告の閲覧者数”のみで評価されてしまいがちです。しかしマーケティング効果は本来『“広告閲覧者の数”と“エンゲージメント”の掛け算』で評価されるべきです。

『MedPeer』には、広告を閲覧した医師が広告閲覧を契機としてUGCを投稿し、そのUGCがさらにほかの医師のUGC投稿やPGC閲覧を呼び込むことで議論が生まれる文化があります。

広告を閲覧した医師以外の医師にもマーケティング効果が波及していき、結果としてエンゲージメントが高まっていく ― これはほかのメディアにはない特徴です。

『MedPeer』の媒体価値はまさにこのスキームにあり、クライアントからもただ広告閲覧で終わるのではなく議論を通じたまじめな情報の広がりに期待値を持っていただけていると考えています」

市場の変化に応じたメディア設計とサービス

インタビューに答えるメドピア冬木さん

近年、医師向け新興メディアの創刊が相次ぎ、医師向けWebメディアは群雄割拠の状況です。新興メディアの特徴は、「スペシャリティ(専門医療)領域(※1) 」の医師をターゲットにしていること。

新興メディアがそれぞれ小さいセグメントをターゲットとしているのに対し、「MedPeer」をはじめとする既存の大手メディアはこれまで医薬品市場の主力であった生活習慣病などの「プライマリー領域(※2) 」に軸足を置きながら、同時にスペシャリティ領域を横断的にカバーしてきました。

今、医薬品マーケティングが、スペシャリティ(専門医療)領域にシフトする中で、メディアとしての「MedPeer」は今後どのような方向に向かうのでしょうか。

冬木 「確かに新興メディアの勢いは認識していますし、群雄割拠の市場環境が今後数年間は続くでしょう。しかし、私たちがやるべきことは、このような状況においてなぜクライアントである製薬企業が『MedPeer』を利用してくれているのか、その理由を突き詰めて考えることです。

これまで売上と利益の中心だったプライマリー領域の医薬品の特許が切れてジェネリック医薬品に切り替わっていく中でも利益をあげるため、製薬企業はプライマリー領域からスペシャリティ領域へ開発対象をシフトしています。

『MedPeer』もこれまでのマス・ターゲットもとらえつつ、同時にスペシャリティ領域に最適化したメディア設計をめざしていこうと考えています」

一方、コロナ禍による製薬マーケティングの変化はメドピアグループ全体にとって追い風になりました。新型コロナ感染症の流行で、医療機関の訪問規制が強くなり、医師への医薬品情報提供を担うMRと医師とのリアルな面談は事実上中止に追い込まれました。

情報を求める医師、自社製品の情報を副作用情報も含め正確に伝えたい製薬企業 ― 双方にとっての最適解として、製薬企業はMRの訪問をオンライン面談にシフト。メドピアの提供する製薬マーケティング支援事業への需要も増加しました。

「MedPeer」でもサイト内で医師会員と製薬企業のMR担当者が直接1対1でコミュニーションできる機能を開発、「MedPeer Talk」としてリリースしました。

冬木 「コロナ禍によって、単なるリアルからオンラインへの切り替えだけでなく、リアルとオンラインの融合や、リアル面談の効率化など新しい市場が生まれています。

『MedPeer Talk』は医師とMRの1対1のコミュニケーションを可能とし、オンラインでの継続的なフォローを実現しています。医師とMRのエンゲージメントを高めていただけるマーケティング・ツールとしてご利用いただくことを想定した『MedPeer Talk』は、オムニチャネルでのマーケティングを求める製薬企業のニーズに寄り添う提案のひとつです」

※1:スペシャリティ領域とはいわゆる難病指定を受けている病気や数々の希少疾患で、それぞれを専門領域としている医師がいる
※2:プライマリー領域とは主に風邪や糖尿病、高血圧などの生活習慣病領域をさす

ヘルスケアを知らなくてもいい、でも好奇心は大切

MedPeer 冬木さん

これまで培ってきた「MedPeer」独自の価値を維持しながら、スペシャリティ領域に最適化したメディア設計をめざす冬木さん。最後に冬木さんが今、どのような人材を求めているのかを聞きました。

冬木「ひとつは成長意欲です。メドピアはグループ会社も含め成長気流に乗っている企業ですので、その中で自分も成長していきたいという意欲が高い方 ― 自分のキャリアをどう考えているのか、どういうスキルを得たいのかを具体的に描いている人に向いていると思います。

もうひとつは、好奇心の豊かな人。僕自身、キャリアの初めからヘルスケアを志向していたわけではありませんし、現在の当事業部メンバーも大多数はヘルスケア業界以外の出身です。

専門的なルールがあり、調べなければならないことも多いので、ヘルスケアに興味を持ち、楽しみながらキャッチアップしていってほしいと思います。とくに顧客である医師、製薬企業のことをよく知ることが事業の出発点なので、好奇心をもつ人と一緒に仕事をしたいですね」

※本記事は2023年3月に別ブログで公開した記事を転載したものです。


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