一人ひとりがウェルネスに暮らせる社会──特定保健指導のDXでアウトカムに貢献
メドピアグループの一員として、生活習慣病予防を目的とした「特定保健指導」の分野でサービスを展開する株式会社フィッツプラス。事業の意義や成長性、さらにメドピアグループだからこそつくり出せるシナジーについて、フィッツプラス代表取締役社長の神林 基さんに語っていただきました。
健康保険組合の「特定保健指導」にまつわる業務を効率化する
「特定保健指導」とは、40~74歳で「特定健診」を受けた人のうち、生活習慣病のリスクが高いと判断されたメタボリックシンドロームの方を対象とした指導のことで、健康保険組合が実施主体となって、医師や保健師、管理栄養士といった専門スタッフが改善のための指導にあたります。
2025年には“団塊の世代”と呼ばれる年代の人が75歳以上となり、医療費のさらなる増大も懸念されています。こうした問題を受けて、企業が今いる社員の健康を見直すなど、病気の予防について考える「健康経営」への関心が高まっています。
フィッツプラスでは「楽しく食べる、ととのえる」を企業ミッションに掲げ、管理栄養士が食事を中心として指導にあたるサービスを提供しています。
「特定保健指導はフィッツプラスの主軸事業です。特定保健指導には運動習慣や食生活などさまざまな観点から指導が行われますが、当社が着目しているのは“食”の部分。指導にあたるのは全国の管理栄養士で、食事に関する生活習慣を中心に改善サイクルを回していきます。
具体的には、対象者の健診結果と日常生活の情報をもとに、初回面談で食生活についての改善目標の設定を支援したり、指導・アドバイスを行ったりします。その後は定期的に進捗や効果確認をするなど継続的に支援をすることで対象者の行動を変えていきます。
特定保健指導は厚生労働省でも実施率のさらなる向上を目標としていて、現在の24%から45%に引き上げようとしています。しかし、実施率は緩やかに上昇しているものの、なかなか向上していないのが現状です。
その理由として『初回の面談予約の面倒さ』や『事業所をうまく巻き込めない』といったことがあげられることが多いのですが、フィッツプラスでは独自のシステムと手厚い運用サポートによって問題解決を行っています」
サービスの主なクライアントは、会社員などが加入する「健康保険組合」。通常、特定保健指導の通知は対象者が所属する会社を経由して送られ、そこから会社を通じて個人に通知が渡った後、健康保険組合に申し込みを行い、日程調整を進めていきます。
これでは手続きに関わるプロセスが多く、オペレーション工数も増えてしまうため煩雑、かつ長期化しがちでした。また、個人情報を含むデータが多いため、その都度、細心の注意を払ってやり取りする必要があります。
「フィッツプラスでは、自社で開発したシステム『Tonoel(トノエル)(※) 』をはじめ、初回面談の予約を簡便化するためのシステムを構築して、特定保健指導にまつわるタスクを減らすことをめざしています。実際、特定保健指導サービスを利用していただいている組合様では、『Tonoel』の導入が急速に進んでおり、『Tonoel』は2023年6月時点でサービス開始から6カ月になりますが、全クライアントのうちの50%以上が導入を決定するなど、順調に使われ始めています」
“食”を切り口に、きちんと効果が出て、続けやすい指導プランを確立したい
メドピアグループとして、予防医療の一種でもある特定保健指導分野を担うフィッツプラス。グループ内での立ち位置やこれから果たしていきたい役割についても聞きました。
「当社が成し遂げるべきことは大きく分けて二つあります。一つは生活習慣病リスクの抑制のために、実効性のあるプランを実現していくこと。実施率を向上させるだけでなく、実施した多くの方にとって効果が出せる特定保健指導を行いたいです。
特定保健指導の目的は、糖尿病を中心とした生活習慣病の発症を抑制することであり、透析をはじめとする高額な医療費の負担を軽減することです。世界でトップの超高齢化社会に突入している日本において、この問題を解決することの重要性は高いと考えています。
もう一つは、こうしたサービスのプラットフォーム化です。特定保健指導に参加した方やステークホルダーがより便利に利用できるような場を提供していくことで、実施率の底上げに貢献していきたいと考えています。そうすることで予防医療分野におけるメドピアグループの存在感も向上させていきたいと思っています」
毎日3食食べる“食習慣”、“食生活”の改善は、将来の健康への影響が大きいと神林さんは語ります。
「健康にまつわるアドバイスで多いのは『運動』と『食事』でしょう。このどちらかを改善する必要がある場合、運動よりも食事の方が始めやすく、続けやすいと感じています。運動は加齢や怪我などによって運動自体ができなくなることもありますし、そもそも日常的な運動習慣がない方にとっては取り組むハードルが高い。それと比較して、食事はすでに毎日の生活に組み込まれています。
言い換えればそれだけ改善のチャンスが多い。このような観点からフィッツプラスでは食習慣の改善に着目して、サービスを展開しています。また、食事は人と一緒に食べることも多く笑顔になる瞬間も多いので、ポジティブに取り組めるとも考えています」
実際に、フィッツプラスの特定保健指導を契約している健康保険組合からは「実施率が上がった」という声もたくさんいただきます。
無理なく続けられ、かつ実効性のあるプラン。この二つを大切にする姿勢は、ミッションに掲げている「楽しく食べて、ととのえる」が体現されている部分と言えます。
「フィッツプラスがメドピアグループであることのシナジーも非常に大きいと感じています。現役医師でもあるメドピア代表の石見さんをはじめ、グループ内に医師がいることで、医師の目線から予防医療についての意見を得られるなど、専門家の知見を得やすい環境であることは大きなメリットです。
実際に石見さんとは週次で会話する機会があり、タイムリー、かつ細やかにフィードバックをもらえることは非常にありがたいです。
また、メドピアが持っているシステム開発のノウハウもサービスを構築する上で助けになっています。メドピアには技術力の高いエンジニアもたくさんいますし、開発効率を上げるためのナレッジが共有されているので、生産性高く事業を推進していくことができます。
ほかにも、同じグループでさまざまな立場から医療について考えている組織があるため、今後それらの掛け合わせで新たな事業やサービスが生まれる可能性も期待ができます。メドピアグループには、われわれのような予防医療の領域から介護領域まで、医療をテーマに幅広い事業に取り組めるチャンスがあります」
特定保健指導は実施率の向上に向けて国からも積極的な声掛けがなされており、今後も成長が期待されるマーケット。食を切り口に取り組むフィッツプラスがなすべき最大の目標は「アウトカム(介入による効果)」の確立であると言います。
「とにもかくにも、特定保健指導に参加した方の体重や健診結果が改善されるといった効果が表れることが重要です。さらにその仕組みをメソッドとして確立させ、社会へ広げていきたい。予防領域のフィッツプラスが先導役になり、メドピアの成長をしっかりと支えていけたらと思っています。
特定保健指導に参加する意欲が低い人がいるのも事実であり、そういう方にも参加していただく『特定保健指導』において、メソッドの確立というのは非常に難度の高いチャレンジです。
特定保健指導は2008年から制度がスタートしましたが、業界全体でみてもまだまだ問題が多くあり解決されていません。ただ、個別で見ていくと指導の効果がきちんと出ている人が多くいることも事実でして、成功例をモデル化し、いかに模倣できるような形式知にできるかがカギです。そのためにテクノロジーの力や、メドピアのアセットも活用していきたいですね」
異業種からのジョインが大半。多様なキャリアパスが想定される
2018年からフィッツプラスにジョインし、2019年10月に現在のポジションに就いた神林さん。組織のカルチャー醸成にはどのように取り組んできたのかを聞いてみました。
「フィッツプラスのカルチャーは、一言で表すと『明るい』だと思います。石見さんからも言われたことがあるのですが、『赤字の時代でもフィッツプラスからは笑い声が聞こえてきた』んだそうです(笑)。もちろん全員がそうではないと思うのですが、フィッツプラスらしいエピソードだと思います。
それから、私が言うのもなんですがフィッツプラスは風通しが良い会社だと思います。メンバーは私が入社した当時の20名から、3倍近くまで増えましたが、今もメンバーが直接、私に新規事業のアイデアを出してくれることがあり、そこから実際にプロジェクトにつながったものもあります。
たとえば2022年には埼玉県国民健康保険団体連合会様による『糖尿病性腎症重症化予防対策事業(※)』にフィッツプラスの保健指導プログラムを提供させていただきましたが、これは社内の管理栄養士のメンバーから声が上がってきたものです。以前、私も上司から新規事業は現場から産んだ方がおもしろいと聞いたことがあるので、メンバーから上がってきた意見やアイデアは非常に大切だと思っており、意識的に耳を傾けるようにしています」
※ 埼⽟県の国⺠健康保険団体連合会による糖尿病性腎症重症化予防事業に関するリリース
特定保健指導という専門性の高い分野で活躍するために必要なキャリアやスキルとは「私自身未経験の分野でしたし、異分野からジョインしてきた人が大多数です」と神林さんは話します。
「この事業のおもしろさは、自分で問題を発見し考えて、仮説を立て、周囲を巻き込みモノをつくっていけること。それが新たな価値創造につながるし、社会貢献にもつながります。
活躍する人に共通しているのは、メドピアのクレドに沿った思考の人。あらゆる仕事を“自分事”としてとらえ、『やるべき』と感じたら自分の役割からはみ出して、その思いを周囲に発信し、やりきっていく力のある人が多いように思います。
ただし、クレドの一つである『ぶつかり合う』という点は、実はまだまだ足りていないと思うところもあって……。スキルやコミュニケーション面でも非常にバランスのとれたメンバーが多く、空気を読みすぎる面があるので、ここはもう一歩突き破ってほしいなと思っているところです。メンバーには『良い意味で過去や私を否定してほしい』とよく伝えています。
異業種からジョインしてきたメンバーが多いので、ガッチリと決められたロールモデルなどもありません。オペレーションからスタートしたメンバーがサービスの改善や顧客ニーズの把握に注力してくれた結果、PdM (プロダクトマネージャー)としてサービスクオリティのコントロールに取り組んでくれている事例もあります。
これまでフィッツプラスにPdMというポジションはなかったのですが、ある社員が仕事に向き合っている姿を見るうちに『必要だ』 と感じ、新たなポストとして作ったんです。業務に取り組むうちに幅広いキャリアパスを描いてもらえる場でもあり続けたいと思います。個人の成長が組織の成長につながり、また個人の成長につながるような良いサイクルを多く創出したいです」
「フィッツプラスで仕事をしていてよかった」と思ってもらいたい
ここまでフィッツプラスの成長戦略、メドピアグループの中でなすべきことについて話してきた神林さん。最後に自身が成し遂げたいことについて語ります。
「人の育成に力を入れていきたいと考えています。どの経営者もきっと、人材の採用や育成については苦い経験をされているはずで、私も同じです。フィッツプラスで働くメンバーに『この会社でこんなふうに成長できた』『自分のキャリアにこんなことが役立った』という実感を持ってもらえたらいいなと考えています。それは、やはりフィッツプラスのビジョンに立ち返ることでもあって……。
フィッツプラスのビジョンは『一人ひとりがウェルネスに暮らせる社会を創る』ですが、この“一人ひとり”には社員も含まれているんです。自分たちがウェルネスであってこそ、社会や市場に良いものをもたらせるはずと考えていますし、社員にとってウェルネスな組織でありたいと願っていますが、まだまだ足りていません。
また、これまでフィッツプラスの人事はメドピアの人事部メンバーに兼務してもらっていましたが、より社内のメンバーにウェルネスになってもらえるよう、専任の人事担当者をフィッツプラス社内に配置しました。これで労務環境の改善や人材育成に取り組んでいけたらと思っています。
特定保健指導は市場の伸びもあり、今後、われわれの事業はますますスケールしていくので、足りない役割やポジションはこれからも生まれてきます。特定保健指導という社会的意義が大きく成長性のある領域で、自分のなすべきことに出会いたい、やりたいことがあるという人に、ぜひ挑戦してほしいです」
※本記事は2023年7月に別ブログで公開した記事を転載したものです。
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