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8割以上の医師が取得!専門医資格の取得について調査

「専門医」とは、特定の医療分野において深い知識、豊富な経験、高度な技術を持つと認定された医師に与えられる資格です。
内科や外科、小児科といった診療科のほか、循環器や消化器、呼吸器などの部位ごと、漢方やレーザー治療といった治療法ごとに多様な区分があります。
専門医は、日本専門医認定機構による所定の研修を修了し、資格審査試験に合格することで取得でき、5年ごとに更新が必要です。

医師専用コミュニティサイト「MedPeer」にて、医師を対象に「専門医資格を取得しているか」についての質問が投げかけられました。

専門医資格はスキルの高い医師であることを証明し、取得することで転職やキャリアアップなど、活躍の場が広がることが期待できます。今回は、その専門医資格に対する医師の意見をご紹介します。


専門医資格を取得している医師は8割以上!

調査日:2024年11月17日

専門医の資格を1つ以上取得していると回答した医師は、全体の8割以上にのぼりました。専門医資格は、スキルの高さや信頼性を証明するための重要な指標であり、多くの医師が取得・維持に力を入れていることが分かります。

専門医資格が医師にとってどのようにキャリアや日常診療に影響を与えているのか、実際の声をご紹介します。

1つ取得している

70代以上 男性 勤務医 脳神経外科
脳神経外科教室に入局した際、教授が専門医と博士号は必ず取らせると約束。予定の年に予定通り、取得できた。他の専門医は取得すると仕事が増えるだけで、メリットがないと取得できても取らないことにした。正しい選択であったと思っている。

60代 男性 勤務医 一般内科 神経内科
神経内科専門医のみをもっていますが、現在は臨床を離れているので、今後どうするか思案中です。併せて内科認定医が必須のためこちらも取得しており、さらに別の学会にも加入していますが、整理したいと思っています。

30代 男性 勤務医 整形外科・スポーツ医学 産業医 一般外科 一般内科 家庭医療
今後医師過剰となった時に、専門医資格のあるなしで区別化がはかられる可能性があるから。
専門医資格を昔は要らないと思っていたが、専門医資格を必要ないという医師はみな専門医資格を持っている。

30代 男性 勤務医 小児科
小児科専門医を持っている。
持っていないとダメではないが、実力を全く知らない医師を見比べた時に持ってる医師の方が信頼感はある。
これは患者視点からも医療者視点からも同様。

50代 男性 勤務医 心療内科 精神科
専門医は、専門医になる前からの学会へ入っている専門医資格は、取得しました。しかし、学位のための学会のほうは、あまり興味なく、資格を有することなく、退会を選びました。

40代 男性 勤務医 小児科 一般内科 アレルギー科 精神科 心療内科
今持っている以外の専門医資格は、臨床経験や論文投稿の条件を満たせるものがないので手が出ませんでした。現在の職場で働く分には特に困ることがないのでよかったですが。


2つ取得している

60代 男性 勤務医 一般外科 消化器外科 乳腺・内分泌外科 呼吸器外科
外科専門医、サブスペシャリティ―として消化器外科専門医を有しています。以前は呼吸器外科専門医も持っていました。取得も大変でしたが、維持のため臨床経験以外にも時間的金銭的な負担も大きいと思います。しかしその割にインセンティブもなく個人的にはあまり必要性を感じません。一方で一般社会、とりわけ患者側からはそれを頼りにして病院選びをするのも確かなので意義はあるものとも思います。ただし専門医を持っていなくても持っている先生より人格も優れ手術も上手な先生はたくさんいるのも確かです。

40代 女性 勤務医 小児科
これ以上は取るつもりはありません。持っていなくてもできる行為はありますが、例えばアレルギー専門医でもない人が、アレルギーと診断して採血して、保険点数とって、間違った結果の説明しかできないなってのはやめて欲しいところです。

60代 男性 開業医 一般内科 血液内科 消化器内科 呼吸器内科 循環器内科
内科の場合は2階建てだと思います。他科の専門医、サブスペシャリティ複数というのは専門医とは言えないし、細かい専門医の多くは学会の運営のためとか、本人のマニアックな趣味の世界ではないかと思います。

50代 男性 勤務医 精神科 一般内科
精神科と総合内科専門医を維持している。
精神科病院では内科が出来ることが重宝され、一般内科病院では精神科が出来る事がアピールになるので、大変ではあるがダブルの専門医資格を維持している。

50代 女性 勤務医 一般内科
自分の診療の根拠となる情報収集がしやすい環境ができます。
そういったことがなくても自信をもって診療できる方は大丈夫かもしれませんが費用もあまりかからずの必要最低限で保持しています。

60代 男性 勤務医 泌尿器科 腎臓内科・透析
主の科目とサブの科目で、あとはやめました。元々試験が無い専門医制度が出来た時に、次々と取っていました。費用がかかり、2種意外次々と辞めました。教育関連施設などで役立っています。


3つ取得している

60代 女性 勤務医 消化器内科
内科専門医、消化器内科専門医、消化器内視鏡専門医を30年以上持ち続けていますが、なくて仕事に差し支えたことはありません。
その上、いろいろな学会が増えて専門医も増えて今の方は維持するだけで大変だと思います。
専門医としての技量を担保できる資格となって、報酬などで見合ったものになっていくべきでしょう。

40代 男性 勤務医 精神科 心療内科
精神科専門医を基本としてあと2つ取得。何も取得せず、医局から破門された老害医師の多剤併用、薬理作用無視の適応外、我流処方の被害を職場で目の当たりにする度に、専門医の重要性、生涯教育の必要性を感じる。

60代 男性 勤務医 代謝・内分泌科 一般内科
日本内科学会専門医、日本内分泌学会専門医、日本甲状腺学会専門医。強制的に勉強する機会が与えられるため、臨床能力の保持に役立つと考えています。特に給与などには反映しませんが、今後も保持する方針です。

50代 男性 勤務医 神経内科 一般内科 リハビリテーション科
総合内科専門医と神経学会専門医はもともとの専攻で。リハビリ医学会はその後関心を持って一から勉強して取りました。一応一通り勉強してきた証になるかな、とは思っています。転職の際には有効ですし。


4つ取得している

70代以上 男性 勤務医 膠原病科 リウマチ科 アレルギー科
日本だけの専門医取得ゲームのように多数もっている医師がいるが、今後は1階部分と2階部分の2つの専門医(各学会認定でなく日本専門医機構認定)と制度上すべきであろう。2階部分の標榜は日専構の専門医資格を持った者のにが標榜可能とすべきであろう。

50代 男性 勤務医 腎臓内科・透析
専門医認定施設を維持していくために一定数の専門医、指導医が必要なため病院からも取得するように求められたこともあり取得しました。
ただ持っていても酷い診療をする専門医もいるため、持っていれば良い先生などと言える保証は無いと思います。

40代 男性 勤務医 一般内科 神経内科
勉強するきっかけになるので取れるものは取っておいても良いと思ってます。特に医局から離れて仕事をする場合は、採用時に能力を保証してくれるのは専門医資格のみと思います。

50代 男性 勤務医 心療内科 消化器内科 緩和医療
内科医です。内科専門医は持っとかないとと思いますが、例えば産業医資格は、定年前くらいで良かったかなと、とにかく維持にお金と時間がかかります。


5つ以上取得している

70代以上 男性 勤務医 一般外科 消化器内科 緩和医療 健診・予防医学
外科、消化器外科、肝胆膵外科、消化器病、消化器内視鏡、少しニュアンスは違うが膵臓は認定指導医。専門医がないとできない医療行為があるような専門医はこの中にないが、勤務施設が認定施設になれるかどうかに影響し、認定施設でなければ専門医を希望する若者医師に敬遠されることには直結するので、そこにいる専門医は維持することが必須です。だけど、病院は一切専門医の取得、維持にまでは費用を出しません。あくまでも個人資格であるという立場です。専門医にもピンキリあってきりがないと言えばそうなのですが、認定施設維持に必要な資格という線をひいてでも費用の支給はあってしかるべきでしょう。しかし、そのための病院収入は保険診療では入らず米国の1割に抑えられた診療報酬では病院に支払いを求めるのも無理があります。

60代 男性 勤務医 漢方医学 産婦人科 代謝・内分泌科 代替医療・統合医療 産業医
初期のころ、実績を出せば専門医を取得できていた時代に取得した専門医もあるので、6つの専門医資格を持っています。最近では専門医資格の取得が難しくなって来ているように思い、若い先生は大変だなあと思うこともあります。一方で、専門医によるインセンティブもなく、資格の維持のためだけに出席せねばならない学会や研修会もあり、負担が大ききなっていることも自覚しています。ただ、そのような会に行くと、新しい知見や最新のガイドラインを勉強することもできる良い点もあると思います。自分が勉強したという証だと思って頑張ってゆきたいと思います。

60代 男性 勤務医 消化器内科 一般内科
大学にいた頃に取得したものが今でも続いています。資格更新に勉強することがあるのでやはり生涯学習的には良いと思います。仕事場では、学会費、更新費用など援助してくれるので助かります。 また、最近ではWeb参加も多くなっているため色々な面で助かります。内科では、他の地方会も参加できますしね。

60代 男性 勤務医 呼吸器内科 一般内科 アレルギー科
研修病院に勤務していたころは指定病院維持のために専門医・指導医資格が必要だったので取得していましたが、現在勤務しているクリニックでは、その必要性を感じないし、それなりの費用もかかることから、そろそろ資格の取得・更新をやめようかと思っています。

40代 男性 勤務医 消化器外科
サブスぺの専門医資格の数が多く、"つきあい"として課金のために取得する的な側面があるのは否めない。肝胆膵外科学会の高度技能専門医のように施設間の優越性で取得の可否が決まるような資格は不平等であると感じる。

50代 男性 勤務医 消化器外科 一般外科
外科学会、消化器外科学会、消化器病学会、大腸肛門病学会、消化器内視鏡学会、肝臓学会の専門医を取得しています。資格維持のコストが大変です。その割にメリットは少ない感じがします。


取得していない

60代 女性 勤務医 精神科
非常勤が長かったの専門医は取得でしていません。診療上「専門医と同等以上の診療経験と知見」を有し、レポート提出、講習受講等しないと認定されない処方資格があります。認定医と比べて時間、労力はかかるものの手順を踏めば資格は得られるので、診療に影響がないようにしています。専門医を取得している人は年齢とともに維持が大変になって手放す人も居ますし、あってもなくても大変だと思います。

50代 男性 勤務医 心療内科 精神科
精神科の専門医を取得しようと思いましたが、あまりに多忙な時期と経過措置期限とが重なり、取り損ねました。それ以降、取得していません。持っていても実力が伴っている資格ではない、と今では思っています。非専門医だ、と揶揄されても動じません。

50代 男性 勤務医 呼吸器内科 呼吸器外科 一般内科 リハビリテーション科 リウマチ科
以前は複数もっていましたが外科系の専門医は手術をしなくなると専門医が維持できずただの人になります。特定疾患の申請には専門医がないと長時間の講習を受けねばならなくなり、外科系は不利です。学会参加等で何らかの考慮をして欲しいです。

60代 男性 勤務医 救急医療科 一般内科 消化器外科 消化器内科 総合診療
以前は4つ専門医資格を取得していましたが、年会費、更新料および学会参加費など資格維持の費用が多額で今の職場やこれから就職するかもしれない医療機関では不要と考え全てを捨てました。すっきりしました。

60代 男性 勤務医 老年内科 心療内科 精神科 産業医
当診療科においては精神保健指定医が、嘱託産業医受託先との契約上は日本医師会認定産業医がそれぞれ必要であるが、専門医資格の必要性は感じない。したがって取得していない。

まとめ

専門医資格の取得は、医師のキャリアにおいて大きな価値を持ちつつも、資格維持のコストや負担を巡る現実的な問題も浮き彫りとなりました。専門医資格が医師の専門性や医療施設の認定維持に不可欠である一方で、インセンティブの不足や負担の大きさが、資格の維持を難しくしていることも見えてきます。

医師たちの声を踏まえ、より現場に即した制度の見直しや支援体制の強化が求められているといえるでしょう。

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