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【医師調査】約8割が外来診療の予約制を導入していると回答

医師集合知プラットフォーム「MedPeer」にて、会員医師に向けて「外来診療の予約制の導入状況」についての質問が投げかけられました。
外来診療における「予約制」は、患者さんの待ち時間短縮や医療機関の効率的な運営に寄与するとされる一方で、診療科や医療機関の規模、地域特性によってその導入状況は大きく異なります。
外来診療の現場から見える「予約制」の現状と課題をお届けします。


約8割の医師が「予約制」を導入していると回答

調査日:2024年12月15日(日)
※一部選択肢省略

「すべての診療で予約が必須(完全予約制)」「一部の診療のみ予約が必須(部分的な予約制)」「予約は可能だが、予約なしでも受け入れている」のいずれかの予約制を取り入れていると回答した医師は約8割(81.7%)という結果に。
完全予約制で効率を追求する医師がいる一方、予約外診療の柔軟性を重視するケースもあるようです。
それぞれの回答を詳しく見ていきましょう。

すべての診療で予約が必須(完全予約制)

40代 男性 開業医 家庭医療 消化器内科 一般内科 代謝・内分泌科 アレルギー科
基本的に5分ごとに1名ずつ予約を入れており、隙間で予約外や緊急性高い方を診療しますが、ナースや事務スタッフの強力な協力がないと成り立ちません。優秀なナースや事務スタッフなどがキチンと居てくれることが必要ですし、ありがたいです。こういう体制や関係性がいつまで維持できるかという不安は常にあります。

60代 男性 開業医 一般内科
基本、予約を入れていただき一日の人数をきめています。オーバーしているときはも窓口でもお断りをして、お帰り頂いております。予約な患者さんの待ち時間が長くならないようこころがけて、定期通院の患者さんを大切にする意向を示しました。

30代 男性 勤務医 泌尿器科
大学病院は完全予約制ですがバイト先の土曜外来などはほぼ予約なしです。その日に何人を外来で見なくてはならないのか、わかりません。先の見えない外来はストレスありますね。いつもより少ないと、気分がいいですが。

70代以上 男性 勤務医 一般外科 消化器内科 緩和医療 健診・予防医学
再来が圧倒的に多い外来なので予約時刻通りにだいたい診ることができているが、新患が入るとやはりそれより時間を要するので予定が遅れることになる。せめて再来予約ひとわくくらいは予約に入れて来ないと遅れ幅が大きくなる。

70代以上 男性 開業医 感染症科 一般内科 血液内科 輸血部
自分が診療を受ける立場になればわかることです。受診時間が予約で確保されていないという状況は、自分が大切にされていないと感じます。また診察中の時間が経過して、次の人の番とわかれば、切り上げることも納得します。


一部の診療のみ予約が必須(部分的な予約制)

50代 女性 開業医 皮膚科
皮膚科の自費診療(ケミカルピーリングやレーザー)、内科検診、予防接種に限り予約診療としています。完全予約制の導入を検討したこともありましたが、ネット等で予約を入れることができないと思われる高齢の患者が多く、混乱やクレームの原因になりかねない、と断念しました。

60代 男性 開業医 神経内科 一般内科
神経内科の初診の場合、疾患によってかかる時間がかなり変わるため受付で内容を伺った上で予約を取るようにしています。しかしこれに感染症の患者予約が増えてくると神経内科の新患が見られなくなってしまいます。発熱患者が増えるのは考えものです。

40代 女性 勤務医 産婦人科
総合病院で再診や妊婦健診は予約外来、初診は紹介予約も可ですが、基本は予約無しの受診となっています。予約外来の方が準備ができ、助かりますが、予約通りに進まないこともあり、お待たせてしまうことが申し訳なく、こちらもストレスです。

40代 男性 開業医 眼科
予約制であれば確かに待ち時間クレーム対策にはなると思うが、急なキャンセルによる資源の浪費、急患対応への限界など難しい側面もあることは否めない。予約診療の導入は診療科や診療体制に大きく依存すると思う。

50代 男性 勤務医 一般内科
外勤先は予約制。常勤先は一部予約。しかし予約の診療日もスタッフはどんどん患者さんを受け入れるため、予約の患者さんに申し訳ない、当院はいろいろ問題ありストレスいっぱい。

50代 女性 勤務医 一般内科
時間通りに来てもらえれば予約制のほうが待ち時間も少なくメリットは大きいと思われるが、一定数遅れる方や日にち間違い、受診忘れなどあるので全部っは切り替えられない状況です。


予約は可能だが、予約なしでも受け入れている

50代 男性 勤務医 一般内科 漢方医学 総合診療 小児科 整形外科・スポーツ医学
予約制のメリットは、医療機関側が受診できる患者数をコントロールできるところにあり、患者にとって見せかけの利便性となる場合が多いように思います。近隣小児科や耳鼻科で予約制を取り入れ、その予約にあふれた患者が結構自分の勤務先に来ています。私は他業種で自分がサービスを受ける場合、予約制を強調していないところをあえて選んで利用しています。予約通り診療が進まないことも多々ありますし、利用者にとってあまりメリットがない予約制には基本的に反対の立場です。

60代 女性 勤務医 アレルギー科 一般内科 感染症科 呼吸器内科 リハビリテーション科
基本は予約制ですが人口の少ないところなので予約外が殺到することはありません。以前の職場ではそのままにしておくと一日二十人ぐらい予約外が殺到して予約の人の待ち時間が大変なことになるので、原則予約にしてもらい、緊急の人は見ていましたが、上層部には不評だったようで基本完全予約制をやめるようにと何度も圧力をかけられました。

60代 男性 勤務医 リハビリテーション科 代替医療・統合医療 整形外科・スポーツ医学
リハビリテーション科外来は退院後のリハビリが介護保険でおこなわれるようになったため、さほど混み合うものではない。このため、予約が原則ではあるが、予約外もうけいれている。

40代 女性 開業医 眼科
まだ開業して、間もないので予約制ではあるが、予約なし患者も普通に受け入れています。今後患者が増加すれば、予約ありを優先することになるのかなとは思っています。

50代 男性 勤務医 神経内科 一般内科 リハビリテーション科
基本は予約制ですが、予約外は医師ごとの裁量で受け入れることがあります。さらに、医師によっては予約枠を設けていない場合もあります。要は医師個人の自由です。

20代以下 女性 勤務医 その他
予約しても結局2時間以上お待たせしてしまう。予約の意味があまりない。
予約の人数制限やマネジメントをしっかり行うことで予約の意味をなすと思う。


予約制を取り入れていない

50代 女性 勤務医 眼科
他の科は予約制のところもあるが、当科は予約制ではない。予約の変更を受ける人手が足りないからであるが、結局、予約外も受けざるを得ないので、予定は立ち難いが良いと思う。

50代 男性 勤務医 泌尿器科
新患、再来新患の患者数が日によってよめず、定期の再来の方に待たせることが多くなり、できれば予約制を導入してもらえればと考えています。

60代 男性 勤務医 産婦人科
勤務先の外来診療では、以前から予約制を取り入れていません。予約制なら受診者の待ち時間を短縮出来ると思いますが。

40代 女性 勤務医 消化器外科 その他
予約制のメリットとデメリットを検討すると、まだデメリットの方が大きいと感じているが、いずれは予約制にしたい。

まとめ

外来診療の「予約制」は、患者さんと医療機関の双方にとって利便性の高い仕組みに思えますが、その導入には診療科ごとの特性、患者層、医療現場のリソースなど多くの要素が絡んでいました。
予約制の課題として挙げられた「急患対応」や「高齢患者への配慮」、「キャンセルによる空白の問題」なども無視できない現実です。
外来診療における最適な運営方法は、医療機関の実情に合わせて柔軟に模索する必要がありそうです。

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