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企業にとって重要な中間管理職のメンタルケア、組織づくりを101名の調査から解説

クラウド型健康管理ツール「first call」は、大企業(従業員1,000名以上)の中間管理職(主に、課長・部長)101名を対象に「休職・離職に関する意識調査」を実施しました。
中間管理職は組織をまとめる重要な役割を担っており、中間管理職の休職・退職は組織に多大な影響があります。
そこで、中間管理職のメンタルヘルスが組織に与える影響を知り、組織運営に生かす方法について、first callでマーケティングを担当している遅沢さんに解説いただきました。


組織運営において重要な中間管理職のメンタルヘルス

コロナ禍以降、メンタルヘルスの悩みが深刻化

コロナ禍以降、リモートワークの増加など働き方の変化により、多くの企業でメンタルヘルスの問題に対しての悩みがより深刻化しています。
厚生労働省の「令和4年度 過労死等の労災補償状況」によると、実際に過労死等の労災補償状況において労災請求件数や決定件数が右肩上がりとなっています。企業としては、対策をより一層行う必要があるという認識が広がっています。

厚生労働省「令和4年度 過労死等の労災補償状況」より

企業は、これまでも従業員のメンタルヘルスの不調に対してさまざまな対策を講じていますが、一方で多くがその効果(不調者の抑制)を実感できていないのが実情です。
さらに、メンタルヘルスの問題を抱える従業員が増加するということは、中間管理職への相談も増えており、中間管理職の負担が増しています。
しかし、中間管理職はメンタルヘルスの専門家ではなく、これまでラインケア研修(※)などメンタルヘルスに対しての対処法を学んだ経験がない方も多いため、突然の相談にどう対応すればよいか分からないことも少なくありません。

※健康やメンタルヘルスが悪化する前に、発見し対処する知識を学ぶための研修

組織運営における中間管理職の重要性

実態として、部下から離職・退職の相談があった際に、中間管理職がどういった思いで対応しているのか、何に悩んでいるのか、中間管理職自体がメンタルヘルスの問題に直面していないのかを解明することは非常に重要です。
組織運営において、中間管理職はキーポイントになっているため、中間管理職が高いパフォーマンスを発揮できるような職場環境造りに役立てていただくため調査を行いました。

中間管理職の6割が「部下の突然の休職・離職に困った」ことがある

今回の調査では、中間管理職の6割が「部下の突然の休職・離職に困った」ことがあることがわかりました。
休職・離職者が組織に与える影響や、それによる管理職自身の悩みについて解説していきます。

first call「休職・離職に関する意識調査」

休職・離職者が企業や組織に与える影響は?

組織に与える影響はいくつか影響はありますが、代表的なもので言うと、休職・離職者の発生による残された従業員への一時的な業務負荷の増大があります。
人的余裕資源を抱えている企業はそこまで多くなく、また採用難から即時に後任者の採用を進めることは難しく、休職・離職者が発生すると一定期間、チームや部門の従業員が追加で対応せざるを得ない状況が生じます。
その結果、労働時間の長期化や、慣れない業務へのストレスから、新たに休職・離職者が増える可能性が高まります。

部下の休職・離職、その原因は?

部下の退職のきっかけはどのような要因があるのか、調査結果によると「メンタル面での不調」が69.0%、「身体面での不調」が39.7%となりました。

first call「休職・離職に関する意識調査」

「身体面での不調」と聞くとメンタルヘルスに関連がないと思われますが、「メンタル面での不調」の入り口やメンタルの問題の裏側になっていることも多く、身体症状に対してだけ措置を行えばいいわけではありません。
特に従業員自身は、上司や人事に伝えることで評価やキャリアへの影響を不安に感じることもあり、「メンタル面の不調」を抱えていても、自分の症状を素直に伝えられない方も多いです。
そのため、メンタル面での症状ではなく、あくまで「身体面での不調」として伝えるケースがあります。
そうしたことから、「身体面での不調」についても、職場環境や考えていることが要因となっていることも多く、それを踏まえての対応が必要となります。
また、管理職自身がこのように部下が不調をきたした際の対応方法について研修(ラインケア研修など)を受けていないケースも多いです。
そうしたことも従業員の休職・離職につながる一つの要因として挙げられます。
こうした状況への対応として、メンタルケアの方法について管理職に向けてラインケア研修を制度として盛り込む必要があります。

中間管理職自身も「休職・離職を考えたことがある」

次に、中間管理職自身の休職・離職のリスクについて解説します。
中間管理職は、組織をまとめる重要な役割を担っており、企業において欠かせない存在です。
しかしながら、上司と部下両方の意向をくみ取り業務遂行を行っていく立場であるため、責任やプレッシャーが重く、一般の従業員に比べて業務量も多いという問題があります。その結果、業務のストレスと人間関係のストレスが蓄積せざるを得ない環境にあります。

実際に「自身が休職または離職を考えた経験」については、「何度もある」が14.8%、「数回程度ある」が26.7%、「一度だけある」が11.9%という結果となり、半数以上が「休職または離職を考えた経験がある」ことが判明しました。

first call「休職・離職に関する意識調査」

また、「休職または離職を考えた経験がある」と回答した者に対して、「自身が休職・離職を考えた原因・きっかけ」を調査したところ、「メンタル面での不調」が44.4%、「労働時間などの労働条件が良くない」が29.6%となりました。

first call「休職・離職に関する意識調査」

中間管理職の交代が従業員に与える影響について

中間管理職の休職・離職が企業に与える影響は大きく、代表的な影響としては、以下の2点が挙げられます。

1.従業員のモチベーション低下

特に、従業員と良好な信頼関係を築いていた中間管理職が休職・離職する場合、従業員のモチベーション低下のリスクは一層高まります。
従業員に対して手厚いサポートをしていた場合、「仕事のサポートが受けにくくなるのではないか」「後任の中間管理職が自分に合うかどうか不安」「自分の業務に影響が出るのではないか」といった不安が従業員に生じます。
また、中間管理職が交代すると、部署の方針や雰囲気が変わることが多く、後任者と合わなかったり、そのやり方に納得できない従業員が「やはり前の人が良かった」と感じて退職するケースも見受けられます。
休職・離職があっても中間管理職の交代がスムーズに行われ、従業員が安心して業務に取り組めるような体制を整えることが、企業としての重要な課題となります。

2.業務の遅れ

中間管理職は複数の業務やプロジェクトを抱えているだけでなく、部下のサポートも行っています。さらにその業務レベルも高いものが多く存在します。したがって、すぐに代わりを務める人員を確保することは難しく、業務に遅れが発生する可能性があります。
中間管理職の休職・離職を防ぐには、必要に応じて業務範囲を狭め、自身の業務を抱えながら部下のマネジメントを行うプレイングマネージャーとしての負荷を軽減することが重要です。
負担軽減のためには、残業時間やストレスチェックでモニタリングし、上長とのコミュニケーションを積極的に行い、適宜業務範囲の調整を行うことが必要となります。

メンタル・身体の不調を起こさない組織づくりに必要なこととは?

自発的ではなくネガティブな理由での退職や休職を防ぐためには、従業員のストレスをしっかりと把握すること、まずは相談できる環境を構築することが大切です。さらに、産業医や専門職を交えて、従業員の症状が悪化しないように対策することが求められます。

1.日頃から積極的にコミュニケーションを図る

日頃からコミュニケーションを心がけることで、部下の些細な変化や異変に気づける可能性が高まります。
例えば、オンラインツール上で発言があればスタンプを押す、困った相談があれば早めに対応するなど、些細なことから始めることが大切です。上司が関心を持ってくれることで、従業員のストレスを軽減することができます。
休職・退職という結論になるまえに、”何か些細なことでも相談してもらえる環境”を普段から作っておくことがポイントです。
加えて、部下の異変に気づいた際には、「心配している」という気持ちを率直に伝え、その上で話を聞けるような雰囲気を作り出すことが重要です。上司や産業医に話を聞いてもらうだけでも、部下の気持ちが楽になる場合があります。
話を聞く際は、安心できる環境で本音を話せるよう、多くの人がいる場所を避け、個別に話を聞くことがポイントです。
相談を受けた際には、アドバイスをしたり励ましたりすることは避け、“話を聞く”ことに徹することが望ましいです。
さらに、部下のプライバシーを守るために、相談された内容を不必要に他の人に伝えないという点にも留意することが重要です。
日常的に部下の様子を把握している上司が気づくことで、まだ症状が軽いうちに改善することができる「ラインケア」は、重要なメンタルヘルス対策のひとつとされています。

2.医師や専門家との面談を活用する

部下が抱える問題を自分だけで解決できない場合には、産業医や外部の医師など、専門家への相談を提案することが重要です。
また、医学的な観点からメンタルヘルスの不調を評価するためにも、必要に応じて産業医や保健師などへの相談を促すことが大切です。
もし、部下の異変に気付いた場合は、普段から産業医と連携を取っている人事や労務担当者に相談することで、休職や離職に至る前に適切な対策を講じることが可能となります。
休職・退職を防ぐためには、メンタルヘルスの重要性を認識し、組織全体で対策を講じることが不可欠です。また、組織として研修等を活用し、中間管理職がメンタルケアへの対応を学ぶことも、従業員の休職・離職防止だけではなく、中間管理職自身のメンタルケアにもつながります。

産業医については「first call」までお問い合わせください

解説

遅沢 修平 Mediplat 産業保健支援事業部 マーケティング部 部長

クラウド型健康管理サービス「first call」

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