やくばと病院予約 初診予約件数2万件突破!導入いただいている済生会川口総合病院にインタビュー
メドピアが運営する、基幹病院・中核病院向けのWeb予約申し込みシステム「やくばと病院予約」。
このたび、初診予約件数が累計で2万件を突破しました!
開始から1年となる2024年7月には初診予約数が累計1万件を突破、その4か月後には2万件突破いたしました。
日本における超高齢社会や生産年齢人口の減少を契機とした医療DXの需要の高まりと、予約電話の削減による業務ひっ迫の解消に加えて、受診機会の拡大による患者満足度向上などを目的に、導入いただく医療機関が増えたことによって、1万件から約4か月という短期間で2万件を達成しました。
やくばと病院予約については詳しい記事はこちらから
「済生会川口総合病院」インタビュー
「やくばと病院予約」を利用いただく、済生会川口総合病院(埼玉県川口市)の小池秀近さん(地域医療連携室室長)にお話を伺いました。
(小池さん)「別の部署でWeb予約システムを活用した時は、人間ドックや健康診断、オプションの検査など、様々な予約枠の管理・運用が非常に大変でした。だから今回は、Web専用の予約枠を新たに設けることはしたくなかったんです」
済生会川口総合病院地域医療連携室で導入する予約システムを検討した際の話です。
(小池さん)「予約枠の設置や運用に医師との調整が不要で、電子カルテの予約オーダーを変えずに済む、そういった病院予約システムを探していました」
つまりWeb専用の予約枠は設けず、患者が選択できるのは希望の予約日時のみ、という運用です。最終的な予約日時は病院が院内調整によって決めるため、予約枠の設置や維持にかかる手間がそもそも発生しない、というメリットがあります。
この運用を実現できる点が、「やくばと病院予約」の導入を決めた大きな理由だといいます。
(小池さん)「予約枠は設けない、確定の日時は引き続き連携室が院内調整で決める、という運用を経営会議で説明した時は、“それで連携室の仕事が楽になるのか?”といった質問を受けました」
小池さんはこう続けます。
(小池さん)「私たちにとって一番大変なのは、予約の電話が次々とかかってくる状態です。さらに患者さんによっては、予約先の診療科が分からない、渡された紹介状もお手元にない、といったこともあります。そのため予約に必要な情報を確認するために、紹介元の医療機関に問い合わせることも少なくありません」
電話の受電から予約の確定までにかかる時間は、最低でも5分。場合によっては、20~30分に上ることもあるそうです。
このような電話対応の負担を予約システムによって減らしつつ、Web専用の予約枠を運用する負荷はかけない、というバランス感が求められていました。
(小池さん)「やくばと導入時に先生方からは、“こちらで何かすることはありますか?”と尋ねられましたが、“先生方は何もしないで結構です”とお答えできました」
Web予約の受付は地域医療連携室が行い、医師は従来通り自身の診療科の予約を調整するのみ、という運用が可能になったのです。
(小池さん)「Web専用の予約枠を作ってほしいと先生方にお願いする必要がなく、先生との予約調整なしで自分たちだけで完結できる、というのは大きなメリットです。診療科ごとに電子カルテの予約オーダーを変えようとすると、大変な調整が必要になります。この診療科は良いがあそこの診療科はダメ、というのが多く出てきますから」
「電話が鳴りっぱなし」、連携室の予約対応負荷
済生会川口総合病院は、一般病床数が400床以上の急性期総合病院。救急を含め、地域の医療機関から集まる膨大な患者紹介への対応を、小池氏の地域医療連携室が担っています。
予約システムの導入前、地域医療連携室にかかってくる電話の件数は、初診予約だけで1日あたり約70件。緊急の患者の受け入れ要請など、その他の受電も含めると、外線での受電件数は1日あたり約130件。さらに院内からの内線も合わせると、受電件数は1日あたり約200件に上ったといいます。
(小池さん)「業務が始まる朝9時になると、電話がジャンジャン鳴り出し、そこから一日中鳴りっぱなしです。電話がつながらない状態では患者さんにも迷惑がかかってしまいます。患者さんの受診機会を損なわないよう、なんとかしたいと考えていました」
こうした膨大な数の電話対応を担う地域医療連携室の人員数は約10人。前方連携を中心とした定常業務をこなす中で、1日あたり200件もの受電を10人で対応しなくてはならない負荷も、大きな問題でした。
電話を削減、まずは初診予約から
(小池さん)「地域医療連携室に集まる受電を削減する上で、まず初診予約に目を向けました」
初診予約の電話は1日あたり約70件。全体の約3分の1にあたる初診予約の電話を予約システムによって減らすことで、業務負荷の削減を狙いました。
また医師の働き方改革などを背景に、同院の初診外来で原則完全予約制が始まることも、予約システム導入の追い風となりました。
(小池さん)「原則完全予約制の実施に向けて院内でのすり合わせが進んでいたので、地域医療連携室が予約システムを導入する土台は出来上がりつつある状態でした」
予約システムの導入、様々な懸念も
地域医療連携室として初めての予約システム。導入にあたって懸念はあったのでしょうか。
(小池さん)「そもそも患者さんが使ってくれるのか、という点は少し心配でした」
また患者が入力できる希望予約日のタイミングも、慎重に検討したといいます。
(小池さん)「本来であれば入力時点から3営業日以降にしたいところですが、念のため5営業日以降としました。予約制を始めてどのような運用になるのか、うちのスタッフがシステムを使って予約をうまく処理できるか、といった点が不透明だったからです」
他にも大小さまざまな懸念が少なくありませんでした。
「営業日」という概念が患者に伝わるのか、仮に年末年始などの長期休暇をはさんだ場合に「予約後の連絡がこない」といったクレームにつながらないか、希望ではなく確定の予約日を選びたいという声が多く寄せられるのではないか、といった具合です。
(小池さん)「実際に予約システムの活用を始めてみたら、全く問題ありませんでした。患者さんが選択できる予約日のタイミングも、最初は5営業日以降から始めましたが、処理に慣れたから4営業日にしてみよう、それでも問題ないから3営業日に縮めよう、といった風に進められました」
その他の懸念についても、特に大きな問題にはならなかったといいます。
(小池さん)「やくばと病院予約」の導入から活用開始までにかかった時間は約2か月。「活用の準備にあたって、こちらで特に大きなタスクはありませんでした。予約の設定に必要な項目を決めるよう依頼されたくらいで、“これだけで良いの?”という感想でした」
「やくばと」によるWeb予約の受付フロー
予約システムの導入によって、予約処理の業務フローはどう変わったのでしょうか。
(小池さん)「まず朝に出勤したら、Webの予約が入っていないか“やくばと”の管理画面を確認します。今日は5件入っている、10件入っている、といった確認ができたら、希望日と診療科の空き時間を照らし合わせて予約日時を調整します」
予約が確定したら患者に返事を返す、という流れです。
(小池さん)「月曜日など休み明けは予約が溜まっているため、すべての予約を処理するのに1時間半ほどかかかることもありますが、基本的には30分から1時間かからないくらいで完了します」
Web予約の件数は増加傾向
2024年4月から「やくばと病院予約」の活用を始めた同院。Web予約の件数は毎月伸び続けています。
6月の初診予約数は月間で約1,500件。このうち約180件が「やくばと」を経由したWeb予約でした。予約電話の約12%をWebに置き換えることができた計算になります。
(小池さん)「1日あたりの受電数を初診予約だけで従来より数件から10件ほど減らせたので、対応するスタッフも楽ですし、患者さんも受診機会を逃さずに済みます。電話より絶対Webのほうが良い、こちらを増やしたいですね」
また予約電話の削減が進むことで、患者対応の負荷も減らせているといいます。
(小池さん)「新人のスタッフにとって、予約電話への対応は非常にハードルが高い業務です。患者さんによっては正確な予約情報のヒアリングに時間がかかることもありますし、数ある診療科によって異なる予約処理を覚えながらリアルタイムで電話対応していく負荷は大きいです」
一方で予約対応のタイミングを選びやすいWeb予約であれば、こうした負荷も軽減できるといいます。
(小池さん)「Web予約は電話と違って対応するタイミングを選べます。そのため新人スタッフと一緒に予約情報を確認しながら、小児科の予約はこう処理しよう、それが出来たら次は産婦人科だ、といった具合に徐々に業務を覚えていく流れを取ることができます。電話対応に至るまでの練習としてちょうど良いです」
一つの業務の負荷を減らせると、新たな業務にリソースを割く余裕も出てきます。
(小池さん)「新人スタッフの教育がやりやすくなると、ベテランの手も空いて違う仕事をできるようになる、そういう面では非常に良いです」
また患者の受診機会の拡大という点でも、影響が出てきました。
同院のWeb予約件数のうち、夜間や早朝など営業時間外に入力される割合は、全体の50%を超えています。つまり電話だけでは取得できなかった時間帯の予約が集まっている状態です。
(小池さん)「今後もWeb予約の割合を少しでも増やしたいので、患者さん向けの周知に取り組んでいます。病院のホームページや院内でのチラシ、デジタルサイネージのほか、健診センターでの健診結果にも記載しています」
さらに地域の医療機関に対する周知も実施。Web予約ページへの二次元バーコードを記載した名刺サイズのチラシを自ら作って配布するなど、積極的に取り組んでいます。
済生会川口総合病院の小池さん、ありがとうございました!
基幹病院・中核病院向けのWeb予約申込システム「やくばと病院予約」
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